大悟がスーパーマーケットで迷子になったときのハナシ。(もう見つかりました。笑)


ある東南アジアの国で

スーパーマーケットで子供が隣の陳列棚に走って行って、そのまま連れ去られるという事件もあったので、

子供から絶対に目を離すなと

義母に普段から口を酸っぱくして言われています。

この日も大悟はすぐにカートから離れてどこかへ行こうとするので、あっちへフラフラこっちへフラフラしている大悟をガミガミと叱りつけて買い物をしていました。

大悟は少しずつ距離を取り始め、陳列棚を走って一周して戻ってくるという遊びを始めました。

私が制止するのも聞かずに一周二周と回り始め、

そしてそのまま走り去っていなくなりました。

東南アジアでは日本とは異なり、人身売買目的の幼児の誘拐があります。

私は青くなって辺りを探しました。

そこは大型のスーパーマーケットで隅から隅まではかなりの距離があります。

あっちこっち探し回りましたが忽然と姿を消していない。

考えたくないけれど

最悪の想像をしてしまいます。

ないとは分かってるけれど

考えてしまいます。

嫌な思考が止まらないのです。

レックは冷静で、

私が大きい声で大悟の名前を呼ぶのをやめろと言いました。

けれど名前呼ばないと私たちがどこにいるか大悟には分からないので私は名前を呼び続けましたが、全く返事はありません。

私がパニックになろうとなるまいと

見つかる時は見つかるし

見つからない時は見つからない

ただそれだけなのは分かっていますが、

冷静でいるといけないような、焦らないといけないような、自分に押し寄せてくる雑念の数々を

妙に冷静な気持ちで私は見ていました。

そして最後に

スーパーマーケットの店員さんに伝えて館内放送を入れてもらい

まもなく大悟が1人で歩いているのが見つかったのでした。

私は大悟に言いました。

「you broke my heart(心から傷ついた)」って。

東南アジアのスーパーマーケットで1人で走り去ることが危ないことだと

大悟は分かっているはずなのに私の言いつけよりも自分のやりたいことを優先させたのです。

怖い目に遭わないとわからないのでしょうか。

そんな愚かな話はありません。

大悟は繰り返すでしょう。

これは本当にやってはいけないことなんだと頭と身体で理解するまで繰り返すでしょう。

私は痛い目に遭えば?とはもちろん思えません。

ですから大悟が最も傷つく言葉で制止しないといけません。

「あんたのことが大嫌いになった」

と私は大悟に言いました。

とても悲しかったです。

なんでこんなこと言わないといけないのか。

そこまでの言葉を投げないと聞けないのか。

それともこんな言葉を投げられてもまだ聞けないのか。

私たちは協力しあって生きていけないのか。

大悟は1人で迷子になっていた時は普通でしたが

大好きなお母さんに拒絶の言葉を投げつけられたことで傷つき、さめざめと泣きだしました。

「お母さんお母さん嫌いにならないで」

とすがる息子に

「こんなこと2度としないで」

と私は言い、大悟は約束しました。

いつもは怒られてもすぐにケロッとする息子ですが、この日ばかりはしばらく神妙な面持ちで、ご飯の時もお通夜のようでした。

その日の夜、大悟を抱っこして

もう一度話しました。

「なんで怒られないとわからないの?」

「怒られたいの?怒られるの分かってるのになんでやるの?」

と大悟に聞くと

「怒られるのは嫌い。」

「けれど怒られるまでやる。」

「やってみたいから。」

という返事が返ってきました。

はぁぁぁ。

親の苦労子知らず。

それでも、繰り返すかもしれないけれど、

大悟には私を想う気持ちがありますから

「お母さんを悲しませるようなことはしないで」

と言うと「わかった」と言ってくれました。

かくいう私も

親には沢山心配をかけてきました。

そのころの私はなんなら1人で生きてると思っていました。

けれど何ヶ月も放浪した後に、

インドで高熱で倒れ孤独な気持ちになり

何ヶ月も放置していたメールを開きました。

そこには

母からの「毎日仏壇に手を合わせています」

というメールが来ていました。

それを見て

家に帰ろうと決めました。

私が30歳になった時に父がしみじみと

「よくここまで育ったな。」

と言っていました。

父は仕事人間でほとんど家にいませんでしたが、

親というのは子供が

五体満足で笑顔で笑っていてくれるだけで

あとは何もいらないのかもしれません。

親は子を心配するもの。

そして親の心配があるからこそ

誰かに心配してもらってるからこそ

子供は冒険をしながら生きていけるのかもしれません。

そして誰かが自分に向けてくれている「想い」に気づいた時に

自分も人に優しくなれるし、

親に返そうって思うし、

そうやって人は

大人になっていくんじゃないかなって思います。


それにしても本当にお手柔らかに頼みますよ。

無論、「大嫌い」は撤回して「大好きに決まってる」と言って仲直りしてますので、ご安心ください。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

愛と光をこめて✨

長谷川陽子