大悟は最近お父さんのことを怖れていて
それはなぜかと言うと
怒られるからです。
大悟が怒られる理由は
・調子に乗って物凄く大きい声で騒ぎ続ける。
・オシッコしたいのを我慢して遊びつづけて漏らす。
・おもちゃの取り合いなどで弟を泣かす。
・駄々をこねる。
たいていの場合は、何度も注意を受けているのに全く聞かずにどんどんエスカレートしていき、
最後にお父さんの雷が落ちるのです。
大悟も雷落ちる前に止めればいいのに、調子に乗ってる時は自分の「我」優先で、どうしてもどうして〜も言うことが聞けません。
けれど、お母さんはなるべく大悟の話を聞こうとしますし、
弟の肩を一方的に持たずに喧嘩の仲裁をしてくれるし、
何より一緒に遊んでくれるし。
大悟は、いつも眉間にシワ寄せて頭ごなしに怒るお父さんより、お母さんの方が好きなのです。
でも本当の本当はお父さんも大好きだけれど、お父さんは怒るから怖い…。
お母さんは怒らずに話してくれるから怖くない。
と、こんな風になっていきました。
お父さんはタイ語を話すけれど
お母さんは日本語を話します。
大悟は学校でタイ語と英語を話すのに
家では完全に日本語でお母さんとしか話しません。
これではお父さんが疎外感を感じてもおかしくありません。
お家の中が和やかじゃないなーと感じたお母さんは、大悟とお父さんの橋渡しをすることにしました。
夕飯の後、みんながいるところで
お母さんはお父さんを指差して
「大悟。お父さん怖いでしょ?」
って聞きました。
突然聞かれた大悟は下を向いて
怒られるんじゃないかとドキドキしながら
「うん。…怖い。」
と勇気を出して答えました。
そこでお母さんは大悟に
「あれね、顔が怖いだけなんだよ。知ってた?」
と教えてくれました(笑)
大悟はお母さんの顔を不思議そうに見てからお父さんの顔を見ました。
お母さんは更に
「ホラホラ見てみよ。あの仏頂面。ニコリともしないから怖いよね。眉間なんてギュッとシワがよっててこれは怖いわ。」
と言うと。
お父さんがふざけて片眉をピクピク上げました。
「お母さんも最初は怖いと思ったわー。普段全然笑わないし、テレビ観てる時は話しかけても生返事だし。けれどそれってよそ行きの顔じゃないんだよね。家族だけに見せる裸の顔がこれなんだよ。」
それを聞いた大悟は
「鬼みたいな顔だけど顔が怖いだけ。」
って独り言のように言いました。(ひどい 笑)
お母さんは「ギャハハハ!」と泣きながらバカ受けしています。
「でもお父さんは優しいよ。大悟の幼稚園の送り迎えは毎日お父さんでしょ?大悟のために毎日オヤツ用意して、連絡帳見て、大悟の水筒洗って学校の準備してって大悟は見てないけれど、全部お父さんがやってるんだよ。
大悟が病気になったらお薬飲ませるのもお父さん。お父さんが病気になったらみんなに移らないように違う部屋で寝てるんだよ。
バンコクのおばあちゃんの家に行く時も車の中快適になるように整えてくれるのもお父さん。大悟のオヤツもオモチャもちゃんと用意してくれてるでしょ。」
とお母さんが大悟に教えてくれました。
「けれど、お父さんバシバシ怒るよ。大悟えんえん泣いちゃうよ。」
と大悟が言ったら
お父さんがやっと口を開き
「それは大悟が聞かないから。すぐに聞けば怒らない。」
って言いました。
お母さんは言いました。
「大悟ね、誰だって怒りたくなんかないんだよ。怒ったら楽しくないでしょ。嫌な気分になるよね。楽しい方がいいに決まってるでしょ。だから楽しくなるように大悟もお手伝いしてね。」
と、お母さんが言うのを大悟はウンウンと聞いていました。
「お父さんは本当にダメな時しかダメって言ってないの。周りの人が嫌な気持ちになることとか、危ないことはダメって言うよ。ダメって言われたらすぐにやめようね。わかった?」
とお母さんが更に言うと、そこは素直に頷けない大悟。
大悟は嘘もつきたくないし、約束も破りたくないから、出来ない約束はしないのです(笑)
「大悟。わかったの?」
とお母さんが聞くと
大悟「…わかっ…ごにょごにょ」
お母さん「なに?」
大悟「わかった…じゃない…」
お母さんは大悟を抱っこしてほっぺをぐにーっと挟んで言いました。
「あんた、そういうのが可愛くないよ。素直になろうね。素直は可愛いよ。はい、もう一度。わかった?」
そして大悟が
「…わかった。」
と言ったのでお父さんとお母さんは大悟を2人で抱っこしてぎゅーっと抱きしめて沢山キスして頭をヨシヨシしてくれました。
怖いお父さんが少し怖くなくなって
なんだか胸がくすぐったくてあったかくて
微笑みが止まらない大悟なのでした。
最後まで読んでくださってありがとうございました^ ^
愛と光をこめて✨✨✨