5月だと言うのに、日本も真夏のような暑さが続いているようですね。


タイは一番暑い時期が過ぎて、少し暑さが和らいだものの、常夏の国ですからやはり毎日暑いです。


そんな暑い時にちょっとヒンヤリするような話です。


一昨日のことです。


チェンマイにはソンテウという乗合バスが町中を走っており、


私は炎天下の路上で背中に息子を背負い、右手を挙げて流しているソンテウを拾おうとしていました。


行先が少し遠方で更に渋滞するエリアだったため、止まるソンテウに行先を告げるたびに首を横に振られ。文字通りフラれていました。


やっと一台のソンテウの運転手が首を縦に振ってくれたので、座席に乗り込むために後方に回り込みました。


ここでソンテウの構造の説明ですが。。。


ソンテウはトラックのように運転席と客席が分かれており、運転席の後ろに客席となる長い車体が繋がっています。


客席は長椅子が通路を挟んで二つ置かれていて、5人ずつ計10人の客を運ぶことが出来るようになっています。


ということで、話を戻します。


運転手に行先を告げて、長い車体を客席の入口となる後部まで歩いている時、


外から車窓ごしに車内に座る男の人が見えました。


「あら、先客がいたのね。」


と思いながら、客席の入口から中をのぞくと…


中には誰もないのです。


「おっとっと…」


背筋に冷たいものを感じながら


複雑な心境で座席に乗り込み、私と息子を乗せたソンテウは出発しました。


・・・外からみたら居たのに、中に入ったら居ない。


気のせいじゃございません。


しかもその男の人は入口のすぐ横に座っていて、ちょうどわたしの真正面に座っていたのです。


なんとなく居心地の悪さを感じて、お尻をずりずりずらして中の方に移動しました。


すると。


やっぱりいた。


真正面では視えなかったけれど、斜めに移動したら視えました。


青年くらいの年ごろの男性が座っています。


因みに「幽霊」を見る回路というのは特に持ち合わせていません。


修行の賜物でエネルギーやオーラや過去世などは視ますが、心霊現象には興味がないので、普段はあまり見ません。


自分とかかわりがあるときや、波長があったりすると視えるようですが、とにかくこれはちょっと珍しい事でした。


何も悪い感じはありませんが、不必要に興味を持たれてもよろしくないし、息子も一緒だったので、自分と息子の周りに「居るけど居ない」ような小さな膜を張って静かに座っておりました。


そしてやっと目的地に到着して、その人の前を静かに通ってソンテウから降りようとすると、


なんと私と入れ替わりに緋色の衣に身を包んだ僧侶が乗り込んできました。


その僧侶が発散する光がなんとも清浄なエネルギーを発していて、


私もソンテウの車内も一気に浄化されたのでした。


お金を払うために運転席に回り込むと


なんとドライバーのおじさんまで驚くような満面の笑みに満たされていました。


ドライバーのおじさんからしたら、ちょっと遠くまで足を運んだお蔭で僧侶を乗せることが出来て幸運だと


思ったのかもしれません。


が、私には浄化を必要としていた霊魂が僧侶を乗せるために私を使ったように感じられ、


そういうことだったのね。


と、合点がいき、腑に落ちた感じがしたのでした。


偶然は必然。


ちょっとヒンヤリしながらスッキリするお話でした。


最後まで読んでくださってありがとうございました。


愛と光を込めて。


長谷川陽子