そもそもは自然分娩をする予定でした。

出来ることなら産婆さんに介助してもらっての出産なども考えていました。

タイの山岳地帯などには病院がないので、村に一人産婆さんがいるそうです。

が、逆に都会では生命へのリスクが少ない病院での出産が普通で、産婆さんはおらず、助産院もありません。

医療の欧米化の進むバンコクにいて

「山ん中行って産婆さんに助けてもらって産みたい」

なんてヒッピーみたいなこと言えませんでした。

ヒッピーみたいといえば、本当はなんかの本に書いてあったように、イルカに囲まれて海の中で産みたかったんですけど。
(イルカが出す超音波を受けていると陣痛が無くなるとかで、フランスかどこかでそういう出産法があるとかないとか…)

まぁとにかく

「郷に入っては郷に従え」です。

周りとの調和も考えて、旦那さんが生まれた病院での出産となりました。

(まぁぶっちゃけ、そこまでこだわりもなかったんですが^^;)

病院では最初から自然分娩の意向を伝え、医師の了承も取り付けていました。

なにか緊急事態がない限り、自然分娩で大丈夫という話だったのですっかり安心していました。

が!そうは問屋が卸しませんでした。

私の中では緊急帝王切開のケースとは

・逆子

・へその緒が首に巻きついた

・その他、胎盤が子宮口を塞いでいる

などののっぴきならない状況を言うのだと思っていました。

国が変われば常識は変わるのです。

38週になった時に検診で突然

「母子ともに順調ですね。それでは手術の日はいつにしますか?」

と聞かれたのです。

私「ちょ、ちよっと待ってください。順調なんですよね。」

医者「順調です。」

私「それがどうして帝王切開になるんですか?」

医者「今はね。」

私「は?」

医者「あなたの年齢は既に高齢出産の域に入っているので、出産時にどんなことが起こるかわかりません。この場合は帝王切開をお勧めします。」

そうきたか。。。

私「…現状で問題が無いなら自然分娩に挑戦したいんですけど。」

と顔を引きつらせながら訴えました。

すでに病院に支払い済ませて、日本と違い勝手のわからないこの国で全てを覆すのは大変難しく、医者が首を縦に振らなければ帝王切開にされてしまいます。

医者「難しいでしょうね。あなたの胎児はあなたの身体にしては大きくなっているので、頭や肩が通れないと思います。」

私の体重は通常時より12キロ増えていました。

日本ではあまり大きく産んで母体に負担をかけないために8キロ以上体重を増やさないように指導が入るそうですが、タイではどんどん食べて大きくしろという指導でした。

それもこれも帝王切開を想定してのことかぁっ∑(゚Д゚)

とはいえ、タイでは妊婦は本当に大事にされ、上げ膳据え膳状態。

どこにいっても食べ物が与えられ、どんどん食べさせられるので本当にコントロールするのが難しかったのでした。

私「12キロ増えてて、同じくらいの年齢でも普通に出産してる人は日本にザラにいます。」

眉根を寄せて、リスクを説明され続けて、なかなか首を縦に振らないお医者さん。

「先生ならきっと無事に出産できるように手伝ってくれますよね。どうぞお願いします!」

となだめすかしたり、懇願したりし続け、

「危険と判断したらすぐに帝王切開に切り替えます。」

という条件のもと、なんとか担当医の首を縦に振らせたのでした。

更に医者から

「40週までに自然に出てこなかったら帝王切開にします。」

と申し渡されたのでした。

初産は得てして遅れるものといいます。

40週を越えることなどザラなはずですが、越えないかもしれず、

その日は条件をのんで帰路につきました。

同じようなケースの人が、お腹の赤ん坊に話しかけてタイムリミットギリギリに出てきたとか、

ちようど親の都合の良い日に出てきたとか、

そういう話を聞いたり読んだりしていたので、

私も一生懸命話しかけました。

お腹が減ってるときとか、みんなで楽しく話してるときとかには内側からポコポコ反応を示すのですが、

そういう懇願をしている時はほぼ無反応^^;

手応えを感じられずにイタズラに時が経ち、40週を迎えてしまいました。


つづく