バリで一度、お金持ちのお葬式にお邪魔したことがあります。

知らない人のお葬式だったのですが、たまたま大きなお葬式があって珍しいから見に行こうと誘われて行ってきました。

お葬式は野外の広場で行われていました。

お祭りのようにやぐらが建てられていて、その上に白い牛のハリボテが置かれています。

白い牛の中には死者が入っています。

ヒンドゥ教(イスラム教徒が多いインドネシアの中で、バリにはバリヒンドゥが根づいている)では白い牛は神の使いですので、神の使いが死者を神の元へ連れて行ってくれると、そういう考えなのでしょう。

バリの民族音楽の演奏があり、簡単な食事が参列者に供されて、最後に聖なる牛さんと共に故人の遺体が燃やされ、肉体が物質世界から消滅してお葬式は完了します。

ところが、いざ牛さんに火を点けてみると火が点かない。

どうやら前日の雨で、紙と木で出来た牛さんが湿ってしまったようです。

周囲の人があぁでもない、こうでもないと相談を始めました。

牛さん焼かないことにはお葬式が終わりません。

どうするんだろう?と静観していると、なんとどこかから灯油を持ってきて、聖なる牛にぶっかけ始めました。

先ほどまでのお葬式の粛々とした雰囲気はどこへやら。

情緒もへったくれもありません。

そして再度火を点火すると今度は簡単に火がつきました。

スゴイ勢いでモクモクと黒煙がたちのぼり、あっという間に牛さんは形を無くして、

燃やす係りの人も一安心。

ギャラリーも「あぁ燃えた燃えた」と会場を後にしました。

それを一緒に見ていたうちの母が一言。

「いいなぁ。」

え、うそΣ( ̄。 ̄ノ)ノ

なにが?どこが?

「だってなんだかのどかでいいじゃない。青空の下、陽気にパーッと燃やされちゃってさ。日本のお葬式も火葬場も湿っぽくて嫌なのよね。」

なるほど~と思いました。

タイのお葬式も華やかです。

遺される者たちは悲しいものですが、逝く人にしてみれば、やっと重い肉体を離れられるわけですから、労いの言葉でもかけて華やかに祝ってあげてもいいですよね。

もし母がタイに来てくれれば華やかなお葬式も出してあげられると思いますが、

牛のハリボテに入って燃やされたいならバリに住んでしかもヒンドゥスタイルの葬式をしないといけないですね^_^;


因みに父は海が好きで、灰は海にまいて欲しいそうです。

自由奔放な家族です。


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