バンコクから350㌔北西のミャンマーとの国境の街サンクラブリー。
この街には大きな湖があり、湖畔に浮かぶボートハウスの上で数日滞在しました。
ボートハウスは湖にプカプカ浮かぶ木の家で、そこでタイ人の友人たちは釣りをして過ごしてました。
…一向に釣れません。
隣りのボートハウスでは地元のおばちゃんやおじちゃんがヒョイヒョイと魚を釣り上げています。
隣りのボートハウスとの距離はわずか数メートル。
餌が違うのかというとそれもありません。
しかもこちらのちゃんとした釣り具とは違い、あちらの釣り具はただの糸をたらしただけのもの。
何故に魚はあちらを選ぶのでしょう…(^_^;)
こちらのおばちゃんはボートハウス30㌢の隙間にて、1時間で20匹近く釣っていました。
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サンクラブリーにはナニコレ珍百景な木造物があります。
湖のど真ん中にどか~んとかけられた巨大な、なが~いながい木の橋…。
あまりの長さに終点が見えません。

その長さは全長850㍍。
木造橋ではタイ最長で世界でも2番目の橋だそうです。
この橋はモン族が架けた橋です。

友人いわく、ミャンマーとタイの抗争の際にミャンマーに加勢したモン族が王様の怒りを買います。
制裁措置として国外追放の代わりに湖の対岸に住まわされたモン族は気合でかけたのがこの橋だそうです。
気合って…モン族の気合凄すぎます。ハンパないですわ。
機動力はあるけどミャンマーに加担して負けちゃって、先見の明はなかったわけですね。
ところで色々調べましたが、この話はどこにも載っていないので真偽のほどは分かりませんのであしからず…。
タイ人と一緒に旅を続けていると、日本人のイメージの中のタイは本当に本当にごく一部だということに気づかされます。
色んな場所に行くたびに、友人が色んな歴史的背景の説明をしてくれます。
その時は「へぇ~」「はぁ~ん」なんて気のない返事で聞いていましたが、こうして文章に起こしてみると、他の旅行記には載っていないことを色々教えてもらっていたのでした。
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朝の橋は霧に包まれていて異次元に迷い込んだような不思議な錯覚に捉われます。
橋の向こうが別の次元につながっていて、違う次元の人が現れても全くおかしくありません
それにしても木造って凄い。圧巻です。
自然界のものをそのまま使っているのでエネルギーが鉄の橋と全然違います。
生きているんです。

植物は例え根や葉を切られても水につければまた根を生やすように、動物とは生命システムが完全に異なり、橋や家になっても生き続けます。
この橋は特にその生命エネルギーを感じることが出来る橋で、まるで一つの大きな生き物のようです。
まるで宮崎アニメに出てくる巨大な木の生物か何かのよう。
幻想的な霧に包まれて今にも鎌首をもたげてのっそりと動き出しそうです。
木造の長い長い橋をギシギシ言わせながら対岸に渡るとモン族の村に到着します。

「あれがモン族だよ」と言われても顔を見ただけでは私には見分けがつきません。

山岳民族特有の民族衣装っぽい服をチラホラ着ている人がいるということで見分けがつくぐらいでしょうか。
モン族の村は子供たちが路上で遊び、お年寄りが日向ぼっこをしている、そんなのどかな村でした。
つづく・・・