映画 DesertFlwer (デザートフラワー)
アフリカ、ソマリアの貧しい家庭で育ち、トップモデルへと転身を果たしたワリス・ディリーの自伝映画です。
13歳の時、お金と引き換えに年寄りと結婚させられそうになったのをきっかけに家出をしてロンドンへたどり着きます。
ホームレス生活をしていた彼女がファッションカメラマンに見初められ、モデルとして活躍するシンデレラストーリー。
…かと思われるのですが、
実はこの映画にはアフリカの一部地域で習慣化されている「女性器切除」を問題にしています。
女性性器切除=FGM(Female Genital Mutilation)
FGMはアフリカの53か国中28か国で行われてり、主に生後一週間から初潮前の少女に行われます。
特にソマリアなどでは98%の女性が受けているそうです。
これが行われていることが純潔の証であるとされ、行っていないと結婚も出来ません。
その方法とは…
1)クリトリスの包皮、あるいは一部を切り取る。
2)クリトリス全部を切除する。
3)クリトリスの切除に加えて大陰唇の内側の壁を削り取り、かつ縫い合わせる。
この手術は伝統的なヒーラーや産婆さんのような人によって行われ、
母親や親族に押さえつけられて、麻酔も使われずに野外の岩の上などで行われます。
切除に使われる刃は錆びたカミソリや切れの悪い刃物を消毒もせずに使います。
縫い針がないので、針の代わりは植物のトゲで代用するそうです。
痛みのショック、恐怖から強いトラウマを持つ事になります。
出血による死亡も報告されています。
不衛生さから、破傷風やエイズに感染します。
尿道に障害を与え、腎臓病を引き起こします。
恐怖から尿が出なくなることもある、という報告もあります。
結婚して性交時には激痛があるそうです。
出産時には、産道を数カ所切らないと赤ちゃんが出ないそうです。
このことが妊産婦の死亡率や乳幼児の死亡率の高さに大いに関係があるようです。
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映画「デザートフラワー」は幼少期に女性器切除を受けたワリス・ディリーの自伝映画です。
沢山のFGM廃止活動が行われていますが、国や地域の昔からの風習を変えるのは容易なことではありません。
現在も毎日何百人という少女がFGMを施されています。
前回、カルマヨガの講義の際にこのFGMについて少々ご説明しましたので、ブログでもご紹介させて頂きました。
私は何故、世界には戦争や飢えで苦しんでいる人がいるのに、自分は安全地帯で安々と暮らしているのか、
自分と彼らの違いはなんなのかをよく考えます。
人には各々課せられた役目があります。
彼らが身を持って何かを教えてくれるのならば、我々はそこから何かを学ばなければいけません。
私たちが平和な日本に生まれていることの意味を考え、目をそむけずに助けを求める仲間に愛を送りましょう。
国が変われば文化も道徳も変わっていきます。
我々、人類が同じ人類に対して行ていることを知りましょう。
そして、痛みや恐れの経験から学び、
より良い世界を良心を持って再構築していきましょう。
一日も早いFGMの撤廃を祈って…。
【その他のFGM関連】
・「ファウジーヤの叫び」
FGMから逃れてアメリカに亡命を求めるファウジーヤの闘いを綴ったノンフィクション小説。
10年前に最初にFGMを知ったのがこの本で、大変衝撃を受けました。
・「切除されて」
セネガルにてFGMを受けたキャディ コイタの本。同年代の少女が一所に集められ剃刀で切除された時の状況を克明に語っています。この時の痛みは他の痛みに例えようの無い程の激痛でその瞬間に、将来への希望など全てを奪われたと語っています。
・「ミセス・グンドス・ドーター」
自分の娘のFGMを回避するためにマリからアメリカへ避難する母子の物語。
マリの男たちは仕事を求めて何年も家を空けて旅することがあるため、留守中、妻に浮気させないためにも女性器切除が有効という男性支配が、宗教などとも結びつけられた慣習だということも明かされる。
村ごとに子どもたちをまとめて数十人も、剃刀で次々切り落としていくという荒っぽさで、出血多量や感染から死に至るケースさえあるという。