今回はちょっと重たい内容になりますので、読みたくない方は読まないでください。

アルジェリアの事件で犠牲となられた方々に哀悼の意を表します。

このような事件が起きると、偏見の風が吹くのではないかと懸念します。

私自身アルジェリアは行ったことはありませんが、以前派遣社員として勤めていた商社では中近東課に所属していました。

私の主担当はエジプト、ヨルダン。アルジェリアには数通ファックスを送った程度だったと思います。

メールやファックスでのやり取りでしたが、確かにビジネスでは「日本の常識」というものが通じないところでした。

それでも、こんなエピソードがありました。

エジプトのお客様が来日されることになり、私が東京や京都をアテンドしました。

私もまだ若く余裕がなかったせいか、お会いするまでは緊張していました。

ところが、お客様はフレンドリーに、初対面なのにエジプトからの手土産までくださったのです。

アテンド先のバイキング料理レストランで、イスラム教徒なので豚の調味料が入っているかを聞いてくれないかとお願いされたときも、

Sorry to disturb you, but it is a big problem for us.
(あなたに迷惑をかけて申し訳ない。でもこれは我々にとって大きな問題なんだ。)


人対人の気遣いは万国共通のもの。 習慣が違っても人の心はそう変わらないと思ったのを覚えています。


 

エジプトのお客様からいただいた思い出のお土産 =========================================

事件現場の惨状がテレビに出たとき、私はある事件を思い出してしまいました。

午後9時ごろ、ホテルでの勤務が終わりオフィスに書類を置きに行ったときのことです。

自分のポケベルが鳴り、その番号へ電話しました。

Japanese guest, problem!! Quick!
(日本人のお客様が大変だ!早く来てくれ!)


その声はタイ人のセキュリティスタッフ。

尋常じゃないその叫びにただ事ではないと思い、その階へダッシュしました。

階に着くと、頭から血を流した日本人のお客様をタイ人スタッフが車椅子にのせものすごいスピードで廊下を走って行きました。

何かが起きたであろう部屋へ恐る恐る近づくと、そこには見たことのない惨状でした。

カーテンが引き裂かれ、部屋のものが荒らされ、壁には血痕が見られました。

あまりの事態に茫然としていたとき、聞きつけたホテルの総支配人、マネージャー、日本人の上司が来て大変な事態になったのだと気づきました。

日本人ゲストに起こったことのため、上司と私はそのままホテルに泊まることに。 数日間対応に追われました。

寝てない状態で気力だけで動いていました。

開業して以来一度も盗難がなく安全がウリだったホテル。

日本の政府関係者も多く、そこでお手伝いできることを誇りとしていました。

なぜ、ウチのホテルで?

なぜ、自分が働いている時期に起きたんだろう?

辛いながらも現場に立つ日々でした。


他の日本人のお客様から事件のことを聞かれるたび、

「私は答える権限を与えられておりませんので、詳しいお話しは英語は総支配人、日本語は日本人の営業担当者からさせていただきます。」

を繰り返していました。


被害に遭われた日本人のお客様はしばらくの間病院で手当てを受け、「ありがとう。また来るからね。」と言ってホテルをチェックアウトされました。

涙が止まりませんでした。

事件の1年後に犯人は捕まったと報告を受けました。 ちょうどそのころでしょうか。

日本がアジアンブームになり、バンコクへの旅行者が本当に増えてきました。

この事件のことは封印するようになってしまいました。

帰国してからも良い話ばかりを引き出され複雑でしたが、話すことで、あまりにも皆さんの夢を消してしまいそうなら話さないほうが良いと思っていました。

しかしアルジェリアでこのような悲惨な事件が起きた今、現実的な話をする時が来たのかなと思いました。


最近のように海外で働けるチャンスが増えてきたことは本当に喜ばしいですし、学べる機会も多くあると思います。

しかし、その分苦労もリスクも抱える可能性があるのです。

観光は私たちがお金を落とすのに対し、ビジネスはお金を稼ぎに行くこと。

観光が光を観るのに対し、お金を稼ぐ場では光以外のものまで観なくてはならないこともあるということです。

アルジェリアで起きた事件は遠い国のことと思わないで欲しいのです。

そして、現地で働くということは、同時に現地の雇用も減らすことになるのです。

現地の人でできることをなぜ外国人がやるのか?

それを常に考えていただきたいと思います。

タイのホテルで事件に遭遇したとき、私は27歳でした。

あのときは色々なものを観すぎてタイに来たことを後悔していました。

今思うと、それはこうして皆さんに現実をお伝えする未来があったということなのでしょうね。


長い封印からようやく解放された気がします。


アルジェリアの事件で亡くなられた方々へ、ご冥福をお祈りします。

横浜みなとみらいにある日揮本社では一般の方も献花できます。

私も今日白い花を一輪を供えさせてもらいました。

 

 


それでは、今回はこの辺で失礼します。


最後までお読みいただきありがとうございました。



本日も

สบาย(サバーイ)

สนุก (サヌック)

ไม่เป็นไร (マイペンライ)


Relax, Enjoy, and Don’t worry too much.


心地よく、楽しく、くよくよせず



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横浜サワディーブリッジ