ショーベタと病気【コショウ病】 | 輸入金魚・ショーベタ専門店「よこはま金魚 本店」ブログ

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最近めっきり寒くなりましたね。

寒くなると魚も病気になりやすくなりますよね…。そんな病気の代表格が白点病とコショウ病。

今回はコショウ病の症状と治療に関してお話させていただきます。

 

 

 

⇩コショウ病の治療について最新版はこちら⇩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはコショウ病の症状から…。

こちらがコショウ病を発症した個体です。

寒くなってくると水槽を保温していても出てしまうことがあります。

お店でも出してしまいました。お恥ずかしい…。

 

通常の個体とどこが違うかわかりますか?

体に白い粉のようなものが付着して、肌も心なしかガサっとしています。

この写真で伝わるとよいのですが…。

 

 

症状が分かったら次は治療!といきたいところですが、原因を知っていたほうが効果的な治療が可能なので、まずは原因から見ていきましょう。

 

この病気の原因となるのはウーディニウム(Oodinium)と呼ばれるグループの鞭毛虫です。

このウーディニウムが魚の体表に寄生することで引き起こされる病気ということになります。

ベタが非常にかかりやすい病気であり、ベタの飼育においては風邪のようなものだと言えるでしょう(とはいえ放置すれば死亡しますのでご注意を)

このウーディニウムと呼ばれるグループは複数の属から形成されており海水性のものや淡水性のもの、光合成からも栄養を得ることができるものなどもいるとかなんとか…。

 

まぁ、簡単に言ってしまうと寄生虫なわけです。

寄生中ということは卵を産んで増殖します。魚から十分に栄養を得た親虫は産卵し、その卵は水底に堆積します。卵から孵化した幼生は宿主を探して遊泳を始めます(この時48時間以内に宿主を見つけないと死亡してしまうとか…。)以下このサイクルの繰り返しです。

 

飼育下で発症する原因としては低温にさらされた場合や、飼育水が古くなった場合に多いです。

どちらも共通して「免疫力の低下」をもたらしますので、免疫力が低下した状態で多数のウーディニウムに寄生されることが直接的な原因といえるでしょう。

 

 

さて、敵を知ったらあとはやっつけるだけですね。

お待たせしました。ここからは治療法です。

 

ベタの仲間のウーディニウム治療で一番効果が高いのは下記の条件であると思われます。

①薬剤の投与

②0.5%程度の塩浴

③28-30度程度の昇温

④頻繁な換水

⑤遮光

 

では順に説明いたします。

 

①薬剤の投与

これは絶対条件だと思ってください。

基本的にはマラカイトグリーンもしくはメチレンブルーを主成分とした薬剤を使用します。

※ほかにも有効な薬剤は存在しますが、基本的には上記2種が安全で入手もしやすいです。

 

ちなみに店長はマラカイトグリーン派なので「ヒコサン」や「アグテン」などを使っています。

治療効果はマラカイトグリーンの方が高い印象がありますが、その分魚毒性も高いので使用量は必ず守ってくださいね。(ワイルドベタなどは規定量の2倍程度で死亡することもあります)

 

規定量だとこれくらいの色になります。

数時間で色が抜けて透明になりますが、活性炭などを使用していない場合薬効は2日ほど継続しますので焦って再投与などしないように気を付けてくださいね。笑

 

 

②0.5%程度の塩浴

これ自体でウーディニウムが死んでいる印象はあまりありませんが、魚の体力を温存できるので可能であれば薬浴と同時に行うのが理想的かと思われます。

0.8%程度でウーディニウムも目に見えて減りますが、魚へのダメージもかなりのものですので、基本的には0.5%までで抑えるのが安全でしょう。

また、一部の魚病薬にはもともと塩が入っている製品もありますので、成分表示をしっかり確認してから塩を添加してくださいね。

 

 

③28-30度程度への昇温

ウーディニウムは高温下でライフサイクルが短くなるといわれています。

温度を上げることで早いこと魚体から寄生虫を離して、薬で殺してしまおうというわけですね。

一応32度程度でウーディニウムにもダメージを与えられるようですが、こちらも魚の体力をかなり奪いますので、基本的には30度までにとどめていただくのが安全かな…と思われます。

高温にすることで代謝が上がり、薬の吸収率も上昇すると思われますのでそういった意味でもあまりにも高い温度設定は危険であると言えるでしょう。

 

 

④頻繁な換水

個人的にはこれが最も大切なポイントであると思っています。

先ほど「ウーディニウムの卵は水底に堆積する」と書きましたが、ここでこの知識が生きるわけですね。

卵が孵化する前に水ごと捨ててしまえばいいという訳です。

できれば毎日100%換水、魚の体力的に厳しいようであれば可能な限り上澄みの水を残して換水をすることが治療効果を高めることにつながります。

可能であれば100%換水と同時に容器も煮沸や漂白、乾燥などによって消毒できると完璧ですね。

2つ容器を用意して1つを消毒、1つを使用という感じでローテーションするのが最もよいです(これだけで治すことも一応可能です)

換水の後には再び規定量の投薬もお忘れなく!

 

 

⑤遮光

これは本当に「やった方が治療効果は高いかも…」という程度のものです。

薬浴中は遮光をするということがよく言われていますが、マラカイトグリーンもメチレンブルーも光で分解される薬ではないので、そういう意味では遮光は不要です。

先ほど説明したように、コショウ病の原因となるウーディニウムには光合成で栄養を作れる種もいるそうなので、栄養の供給源を1つ断つことができる可能性がある。という意味での遮光ですね。

これはそもそも原因のウーディニウムが光合成をしないものであった場合は完全に無意味ですし、ここまでのポイントを押さえていればよほど重症でない限り治りますので本当におまじない程度に考えて頂ければ…笑

 

 

さて、上記の治療を1週間から2週間ほど続ければ体表のコショウはほぼ見えなくなっていると思います。

念のため症状が改善してから1週間程度は投薬を続けることが望ましいですが、毎日100%の換水を行っていれば虫卵が水槽内に残っている可能性は低いのでこの辺りはケースごとにご判断ください。

 

なお、レイアウト水槽などで発症した場合は魚を取り出して上記の処置を行っていただく必要があります。

魚を取り出した後の水槽の方は2週間~3週間ほど魚のいない状態で回しておけばウーディニウムはほとんど死滅するそうなので、リセットをしなくても根絶は可能かもしれません。

 

 

つらつらと長くなってしまいましたが、上記がコショウ病の診断と治療法になります。

基本はご説明したとおりですが魚種や重症度でも対応は変わってくると思いますので、なにかあれば店頭やお電話でお気軽にご相談いただければと思います。

 

では、今回はこの辺りで失礼します。