Q.認知症患者の口腔内溜め込み | 横浜嚥下研究会

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Q.認知症の方なのですが、口腔内に食物を溜め込んで嚥下してくれません。どうしたら良いでしょうか?

A.認知症の口腔内溜め込みは臨床において問題となる一つです。
結論からいいますと記憶、注意、遂行機能障害といった多彩な高次脳機能障害(複数あるので認知症と診断されますが)による先行期障害が悪影響を与えています。後続する準備期、口腔期、咽頭期、食道期は一つ前の期に影響を受けるので、スタートである先行期が高度に障害されている場合は全体に悪影響を与えてしまいます。要はコントロールタワーが不安定だと飛行機が上手に飛ばないといったところでしょうか。そして何より問題なのは、溜め込み→咀嚼されていない食塊が下咽頭へ流れ込む→溢れて喉頭腔へ侵入→喉頭を塞ぎ→窒息死が一番怖いところです。現に年間4000人と言われている窒息死ですが、そのほとんどが65歳以上の高齢者と発表されています。溜め込みが目立つ場合は、一度嚥下の専門家に診てもらうことが良いかと思います。