今日は4月27日の月曜日です、新型肺炎騒動で世間でもようやく少し落ち着いて来たように感じられます。私のフィットネス・スポーツクラブ業界も休業要請が出て、すぐに活動停止とさせられましたが、これはこれで、研究者としの立場では、とても時間に余裕が出来て、かなりの資料づくりや再開後の指導計画や今後の新しい方向性を考えたりするのに良かったです。
 
 
昨日までは、非物質文化遺産認定の運動項目で龍身蛇形太極拳から始まり、五禽戯に続いたので、今回は「導引について」ご紹介したいと思います。
 
今度は日本に関連することで、「貝原益軒 養生訓」の文章から引用して紹介します。
 
「養生訓」を書いた、貝原益軒さんは(1630年12月17日(寛永7年11月14日) - 1714年10月5日(正徳4年8月27日))江戸時代の本草学者、儒学者。 筑前国(現在の福岡県)福岡藩士の人で、中国留学経験はなく、日本の京都で学んだ方でした。平安時代に書かれた日本最古の医学書の「医心方」の中で「華侘方」を紹介した、医師の丹波康頼も京都で遣唐使が持ち帰った書籍で学んだことも共通していると思います。
 
導引の法は、保養中の一事也。人の心は、つねに静なるべし。身はつねに動かすべし。終日安坐すれば、病生じやすし。(巻第五の10)

益軒が養生訓のなかで、毎日、行うように勧めているのが「導引の法」です。導引とは身体をゆり動かして、気の通り道である経絡を伸び伸びさせることです。身体を押したり、なでたり、さすったりすることも含まれます。益軒は養生において、呼吸法とならんでこの導引を重視しました。
 
明代の医師、李梃の著書である『編註医学入門』を引用して、導引の法は養生のひとつであると言ったうえで、人の心は常に静かであるべきだが、身体は常に動かしていた方がいい、一日中、座ってばかりいると病気になりやすい、と説いています。

中国医学には治療医学と養生医学があり、治療は薬と鍼灸、養生は食養生と気功から成り立っています。この気功の前身が導引吐納法といわれるものです。吐納法とは呼吸法のこと。つまり、益軒が重視した導引と呼吸法を合わせると、中国医学で大事な柱のひとつである気功になります。

導引の語源については、一説に『荘子』にある、「導気令和(気を導いて和せしめ)、引体令柔(体を引いて柔せしむ)」だといわれています。
 
狩猟や農耕に明け暮れた中国古代の人々が、疲れを癒やすために伸びをしたり、下肢の筋肉を叩いてほぐしたりしたのが導引の最初です。その後、時代が下がるにつれ、道家や儒家の修行法に取り入れられたり、芸事に結びついたりして、多種多様の導引が生まれました。
「朝いまだおきざる時、両足をのべ、濁気をはき出し、おきて坐し、頭を仰て、両手をくみ、向へ張出し、上に向ふべし。歯をしばしばたたき、左右の手にて、項をかはるがはるおす」(巻第五の11)で始まる導引の具体的な方法を養生訓のなかで益軒は詳しく説明しています。かなり、長々と続きますが、要点は以下のようなものです。
 
うなじを押したあと、両肩を上げ、首を縮める。目をふさぎ肩を下げる。顔を両手でなで、目、鼻、耳たぶもなでる。両耳に両手の中指を入れる。両手を組み、頭を右、左に回す。手の背で左右の腰の上などをなでおろし、両手で腰を押す。両手で尻を打つ。ももひざをなでおろし、両手を組んで膝がしらの下を抱えて、引き寄せる。ふくらはぎをなでおろし、足裏の土ふまずの中心部をなでる。足の親指をひきながら、他の指をひねる。
 
ここには、導引の部分しか紹介されていませんが、巻の第二には「華佗」のことが紹介されています。

そこには「働くことは養生の道」とあり、

華侘(医者 後漢2~3世紀頃)はいう、「人」の身は労働すべし、労働すれば穀物の気が消えて血脈流通す」と、そもそも人の身体は欲少なくして、時々運動して手足をはたらかせて、よく歩いて長い間同じ場所に座っていないようにすれば、血気がよく巡って滞りが起こることはない。これも養生の大切な務めである。毎日このように心がけるのがよい。
 
先ず、身近にウェブで見てみたところ、コトバンクによる「導引」がありましたのでご紹介します。
 
 
導引 どういん 導引 dǎo yǐn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

古代中国の道家から出た養生,治療法。一種の深呼吸法で,関節の屈伸や摩擦法などを行い,禅と結びついて静坐を重視した。日本ではあん摩と混同された。慶安1 (1648) 年に林正旦が著わした『導引体要』は,あん摩の復興をはかったもの。
 
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 
デジタル大辞泉の解説
 
1 導くこと。案内すること。
2 按摩(あんま)。もみ療治。
3 道家より出た漢方の体操療法。新しい空気を体内に導き入れる深呼吸と自己按摩の体操法とを併用した一種の長寿法。
 
出典 小学館デジタル大辞泉について
世界大百科事典 第2版の解説
 
中国の古代から伝わる健康体操。元来古代の神仙家が用いていた不老長生のための養生法の一つで,のちに医家も治療法として按摩とともに採用した。導引がいつごろ始まったか明らかでないが,戦国時代(前5~前3世紀)には,すでにかなり広く行われていたらしい。前漢時代(前206‐後8)初期の著作《淮南子(えなんじ)》には,〈呼吸によって古い気を吐き新しい気を入れながら,熊のように歩き,鳥のように体を伸ばし,鳧(あひる)のように浴び,猿のように足早やに進み,鴟(ふくろう)のように視つめ,虎のようにふりむく〉と,具体的な身体の動かし方が記されている。
 
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 
大辞林 第三版の解説
 
① みちびくこと。道案内。
② 道教の修行・養生法の一。さまざまな身体の動きと呼吸法を組み合わせて行う。健康法でもある。
③ 按摩あんま。もみ療治。
 
出典 三省堂大辞林 第三版について 
精選版 日本国語大辞典の解説
 
① 導くこと。道案内。
※延喜式(927)二〇「釈奠〈略〉賛引五人〈弾正一人・観者二人・学生二人、並掌二導引事一〉」 〔南史‐梁本紀上・高祖〕
② 道家で行なう一種の養生法。大気を体内に引き入れ、これにより心をしずめ欲を制する長生法。
※本朝文粋(1060頃)三・神仙〈春澄善縄〉「飛液秘二不死之飡一、道引伝二長生之術一」 〔荘子‐刻意〕
③ もみ療治をすること。また、その者。按摩。
※浄瑠璃・源平布引滝(1749)三「導引(ダウイン)鍼医の手先を借」
 
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 
世界大百科事典内の導引の言及

【カメ(亀)】より
…その三千歳の亀を火にあぶり突きくだいて服用すれば,人間も千歳の寿命を得ると《抱朴子(ほうぼくし)》佚文(いつぶん)にいう。亀が長寿であるのは導引など特殊な呼吸法を用いるからだとされる。亀が行う導引のことはすでに《史記》に見えるが,後漢末の雑記集《異聞記》には次のような物語が見える。…
※「導引」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
 
 
こうした日本国内における記述に感じたのは、すべての文言的には正しいと思いますが、「実践と効果」という事実認識がやはり欠けていたように思えます。
 
実はこれらは全部概念であり、共通するものが多いです。謂わば最近の言葉でいう「動的ストレッチ」は筋膜や筋肉繊維を引き伸ばす動きも「目的意識を以て導びいて引く、伸ばす」つまり「導引」ですし、按摩も皮膚の上からの導引、もみ療法には「推拿」その他に、搓手、浴面、捶腰、撃腹などの 「拍打」も導引になります。
 

 

 

 
 
振り返るに私は、こうした中国武術、太極拳、華侘五禽戯、導引術などの健身気功の長き修練を通じた成果で、記憶力に自信があり、こうした記述を残すことをしていることで、ふと直感で思ったことは、こうした今回の騒動は、日本国内だけでなく世界各国政府間にも関連する新しい社会政策の一環にも感じられました。
 
こうして今後の再開の先に起こることを予測すると、健康第一に考えて、本当に効果・効能があり、実践によって必ず、ご自身への心身感覚に快適さという実感から来る信頼や安心の構築を実現できる、私が本場中国で学び得た「実技・技能」「理論」を有する仕事スタイルは付加価値が上がるように感じています。私はこれを機会に、新しい教育ビジネスに昇華させたいと思います。
 
頑張って参ります。宜しくお願い致します。