今日は、先ほど 「健身気功」シリーズの日本語版の監修を担当されていた「帯津良一」さんの週刊朝日での記事がありましたので、
紹介致します。
私が中国で修行して、多くを学び取り、幾度と行った本場中国の現地の生活で感じて、現代日本社会の高齢者、中年世代の健康問題や、
現代若者たちの心身の在り方において思うことはよくあります。
私がお勧めしたいのは、最初に太極拳は運動をしたことのない方々には難しく、左右対称の健身気功の五禽戯や馬王堆導引術、
そしてのびのびとして動きやすい「龍身蛇形太極拳」が良いと思います。
龍身蛇形太極拳は、一人で行う「単練」を体得した後に、その技の用法の使い方も行える「推手」「対練」が、
「認知症予防」という概念ではなく、
「脳の活性化」手の指先、足の指先をも駆使して四肢のはたらきの活性化を図ることができます。
そうすると、心身はいつも快適で仕事も生活の充足感に満たされて人生が有意義に感じるようになります。
太極拳で元気にいきましょう!
「太極拳」は認知症予防につながる? 帯津医師が説くポイントとは〈週刊朝日〉
6/3(月) 7:00配信
西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する
帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「太極拳」。
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【ポイント】
(1)太極拳には養生法として二つのポイントがある
(2)套路の歓喜と原穴への刺激が生命を高める
(3)よりよく老いるナイス・エイジングを求めよう
この連載も最終回になりました。最後に私が愛してやまない太極拳についてお話ししたいと思います。
とはいっても、太極拳の習得はそんなに簡単ではありません。中国に行くと、太極拳の達人に出会うことがあります。
そういう方に「何年ぐらいされているのですか」と聞くと、たいてい40年、50年という言葉が返ってきます。とにかく何十年と続ける。
それが太極拳習得の方法です。
私はまだ始めて三十数年ですが、それなりにわかってきたことがあります。
太極拳には気功としての調身(姿勢を整える)、調息(呼吸を整える)、調心(心を整える)という効用があります。それにプラスして、認知症予防にもつながる養生法としてみると、大事なポイントが二つあるのです。
ひとつは套路(とうろ)です。太極拳の型は一連の流れになっていて、それを套路といいます。套とは大きくて長いという意味の言葉です。
中国で手に入れた『太極拳全書』(人民体育出版社)では「長江大河の如く 滔滔不絶 一気呵成」と表現されています。
長江とは揚子江、大河とは黄河のことです。滔滔とは水が流れるさまで、不絶とは途切れないこと。
轟轟たる大河の流れが目に浮かんできます。つまり套路とはダイナミズムの極致なのです。
最近になって、私が太極拳にときめきを感じるのは、この套路のダイナミズムのせいだとわかりました。
太極拳を舞って、そのダイナミズムから生まれる歓喜に包まれないようではまだまだなのです。
もうひとつのポイントは原穴への刺激です。中国医学では原とは生命の根源ともいえる原気を指します。
原気が不足しているときには経穴を刺激して自然治癒力の向上を図ります。そのときに用いられる経穴が原穴なのです。
この原穴は手首に6カ所、足首に6カ所あります。太極拳の動きは手首のスナップを利かせたり、前後左右へ足を運んだりで、
手首と足首の原穴に刺激を与えます。これが大きいのです。原穴が刺激されることで生命が活性化します。
私にとって、太極拳は一番の養生法です。そして、極めることのできない終わりなき自己実現の道です。
これから何十年と、あの世に行っても続けていきたいと思っています。
1年間にわたって、認知症の予防法をいろいろ考えてきました。
最初に認知症は老化現象であるから、人間をまるごととらえるホリスティック医学からのアプローチが必要だと書きましたが、
その考えは間違っていませんでした。
そして、認知症予防のヒントが日々の生活のなかに数多く隠れていることがわかりました。
まさに日々の養生が求められるのです。
よりよく老いる。これがこれからの生き方に求められています。老いることに抵抗するアンチ・エイジングではありません。
目指すべきは、「ナイス・エイジング」なのです。
次回からはこのナイス・エイジングのすすめを書いていきたいと思います。
※週刊朝日 2019年6月7日号