
今年9月4日(日)に開催する「2016年 中国武術文化交流大会」での本場中国での国際武術大会との同様な採点の全体的な配点基準についてです。
今大会で採用される 中国武術 伝統競技ルール(2012年版)
伝統武術ルール原本
採点基準
拳術 器械
配点 採点分類 減点の範囲
6点(動作規格)
手型 手法 歩型 歩法 軽微0,1
身法 腿法 器械操作法 顕著0,2
跳躍 バランス 甚だしい0,3
2点(協調 発力”勁”)
発力の充足 力の使い方の順達度 軽微 0、1~ 0、5
力点の正確さ 手、眼、身、法、歩の協調一致さ 顕著 0、6~ 1、0
動作の鋭敏さ 運動の熟達度 沈着安穏さ 甚だしい 1、0~ 2、0
連貫円滑さ
2点(精神 リズム)
活力の充満 確立されたリズム 軽微 0、1~ 0、5
風格の突出度 内容の充実 構成の合理性 顕著 0、6~ 1、0
変化の多様性 配置の整合性 意識の集中 甚だしい 1、0~ 2、0
表情の自然さ 適度な速さ
失策による減点基準
審判員が執行
動作の忘却 0、1~0、2
剣穂・刀彩が身体に巻き付き動作に影響を与える 0、1~0、2
器械が床にぶつかる 0,1~0、2
「器械」を落とした 0、4
ラインアウト 0、1~0、2
※14×8mのコートの外に出てしまった
バランスを崩す 0、2~0、3
床へ倒れてしまった 0、4
審判長が執行
起勢と収勢が違反した 0、1
やり直し 1、0
途中退場 評価なし
時間不足と超過 2秒につき 0、1 太極拳は5秒につき0、1
套路競技での採点方法は以下の基準から総合して判定されます。
1.動作規格 6点
2.協調性 発力 ”勁” 2点
3.精神 リズム 内容 風格 技の結合 布局 2点
4.失誤 その都度、生じた場合の時々において配分される。
※全員の各自の持ち点がスタート時は「10点」から始まり、動作状況によって、ポイントが指し引かれ、
最終的に、持ち点が各自の得点として判定される、という考え方でできています。
10点満点を得られる人というのは中国武術段位 十段。
「武芸の神」のレベル。
八段 九段はそれぞれの武術人生での生活のありとあらゆる「功夫」の総合での評価になっています。
先ずは、各自の獲得できる技能の点数からすべてが始まります。
1.動作規格
競技で行う套路内での全技術動作から各項目に求められる性質の完成度を見る。
技の整合性のために「型」と「方法」が適確かどうかを評する。
「手型」「歩型」「身法」「歩法」「器械操作方法」など。
一つ一つを全てを減点することはなく、多く出てきても0.3を越えることはない。
2.勁力 協調性
各武術項目の技術動作の実際の身体表現能力を評する。
発”勁”力・功力がその用法に則り手の先、足の先まで到達しているかを見る。
上下左右のバランス、眼の動きと技術(器械操作)との合致、巧みに行われているかをここで採点する。
3.精神 リズム 内容 風格 技の結合 布局
精神:演じる者の内在意識表現を見る。
リズム:動作の中での時間的変化 動~静 快~慢 など。
風格:各武術項目の特徴と風貌の現れを見る。
技の結合:動作と動作のつながりが滑らかで巧妙かつ 起伏、自由自在な変転を見る。
布局:それぞれの武術項目における空間的変化
コート内の場所の使い方で、それは武術的行動範囲を評する。
空間の滞在部分を駆使し理に適い、バランスがとれ 変幻自在さを見る。
(逆にいえば、偏ってはならず、一部分のところだけに留まらないようにする)
4.失誤
動作を途中で頓挫し退場した場合、動作を忘れてしまった、器械の変形
衣服の乱れ、ふらつく・バランス等を崩す、起~収勢が合致しない、
コートから出てしまう、時間不足など。
参考基準(本場中国式の判断基準)
6点以下
動作は規格から離れていて、用いる技に力が届いていないように感じる。
動作への熟達さが求められる。
6.0~6.9
動作に大きな誤りはないが、方法も基本的には沿っているが 何かしら意識に
集中力が不足しているように感じ、一応は通すことができている。
7.0~7.9
動作は比較的ルールに合っている。技もきれいに忘れることなく、
套路を演じている。
8.0~8.9
動作はルールに正しく、方法もよく 力はよく届き
手と眼と身法(器械)が整っていて完成度は高い。
9.0~
武術動作は規範に正しく、用いられる技の数々が清々しさをも感じる。
力は届くべき場所へ到達していて、リズムも滑らかで動きははっきりしている。
手や眼の動きと身体(器械)の使い方はピタリとまとまり よく練られた技が
その套路を完成させている。
こうした基準から、いろいろと工夫して練習をしていけば、だんだんと「やるべき何か」
が見えて来ると思います。
中国武術段位の認定基準
第一段:規定套路の成績が7点以上、理論成績70点以上。
第二段:規定套路の成績が7、5点以上、理論成績70点以上。
第三段:規定套路・自選套路、2項目の成績が15点以上、理論成績70点以上。
第四段:規定套路・自選套路の成績が16点以上、理論成績75点以上。
第五段:規定套路・自選套路の成績が17点以上、理論成績80点以上。
第六段:規定套路・自選套路の成績が18点以上、理論成績85点以上。
こうした考え方の基本は、かつて中国の歴史的な「武術人士」を評価する武挙制度が根幹になっており、
つまり、相手と実際に勝負する前に、どのくらいの武芸を個人で高めて来たのかを、ありとあらゆる角度からのシミュレーションがあり、その考え方が基になっています。
中国武術界は「武術文化」の歴史的に、各個人個人の武術の単練技芸があってから、対練、対打、散手と学べる基準となっていくので、高い武術技能は「単練:一人」の技芸訓練ができてからこそ、更に武徳の有する者だけが学べるようになっています。
今の日本にもありがちで、歴史の短い他民族的なアメリカ式な深く考えずに「だったら、とにかく直ぐに戦え」というような暴力レベルを競うような発想が根本から元々がありません。
今回は上海武術界で中国武術段位制での自選套路に推奨されている龍身蛇形太極拳の技能検定会と競技大会の2つを行います。
そして今回の大会の成績は中国武術段位制を受験する時の個人個人の技能が、どのレベルにあるかを選定する時の基準点を得られるようになります。
中国では先にこうした武術競技大会での成績を獲得してから、各それぞれに適確な段位レベルを知ることで、その後に申請をする時の自己判断基準を持つことができます。
競技大会での自選套路では、
一等奨が「8.9~9,2」の成績で中国武術段位制では五段~六段合格水準。
二等奨が「8,5~8,8」の成績で中国武術段位制では三段~四段合格水準。
三等奨が「8,1~8,4」の成績。
段位制では一段、二段は規定套路のみで、自選套路は三段以上で24動作ぐらいの動作数量の套路、になっています。
今回の「2016年 中国武術文化交流大会」では、中国武術段位認定を新たに受験したい皆さんは来年からの上海武術院と龍演文化有限公司が主催・開催する武術大会に、
横浜武術院の単位で上海の武術大会へも参加できるようになったので、そちらもチャンスを活かしてタイミング的に合えば大いに活用して下さるといいと思います。
楽しく、前向き、積極的に、ささやかでも大丈夫なので、各々での発展と繁栄を目指して、
それぞれのペースで無理なく頑張っていきましょう。
よろしくお願い致します。