シンガポール国際大会


自分の人生を振り返ってみると、幼少の頃の記憶にあるいくつかの思い出の出来事と小学生で剣道少年だった時の自らの心理状態や感覚、

中学生になって中国武術を始めた当時1980年代は「中国ブーム」が日本全体で起こっていて、何かしらあの「昭和の時代」の勢いが好きでした。

16歳で高校1年生の春1985年に初めて憧れの中国、上海へ降り立ち街中を歩いた時の、あの「カルチャーショック」は今でも覚えています。

それからいつも中国や武術のことばかりを考え、翌年にまた中国へ行き、初めて安徽省武術隊で学びました。

1986年~1988年までは長期来日されていた中国老師の皆様に学び、武術のことに朝から晩まで想っていて、空いている時間は常に武術を練習していました。

老師が帰国されてからは、1989年からは中国語がもう話せるようになったので何度も単独で中国を訪れ、そして今までにずっとそのような感覚で続けてきて、自分の時間のほとんどは武術一色でした。

1999年に横浜へ移り、2001年から「横浜武術院」としてそれからこの地域での活動を始めました。

それからは日本の多くの皆さんが、何時までも健康な心身でいられるようにと、地域の皆さんに喜んでもらえるよう、健身養生の研究と実践に力を入れ、普及活動を行ってきました。そして自身の原点だった剣道へ回帰し、新しい日本剣術を興しました。

最近自分が気付いたのは、中国の老師が何故か自分を可愛がってくれたことの中で「日本武道の礼」が私の中にあったことだと思います。

そういうことも含め祖国への奉仕と恩返しだと考えました。

ここ数年は日本国内の医科学の研究結果で「7大疾患」と呼ばれる生活習慣病、またの名を現代文明病の起こる理由と原因が解明され、今はあちこちで知られるようになったと思います。

私はある縁から3年前から日本医科学を勉強するようになり、そこからの観点で考えられるようになり、最近ようやく全ての整理がついて判ったことは、

日本国内にあるストレス社会を含む「現代文明病」の要素すべてと戦っていたことなのだと気付きました。


あれから長くの時間が流れ、

私の学んだ老師や青年期に憧れていた武術家も逝去され、最近はまた幾つかの訃報があったり、まだ存在される老師の体調不良のことを知り、複雑な心境になることもあります。

中国武術協会の首脳も世代交代で、私の同世代の人たちもナンバー3ほどの位置に就いて仕事をするようになりました。

今年の夏のシンガポール大会では徐文忠老師のお孫さんで安徽省武術協会の重鎮となった張薇薇老師と初めてお会いできることが、とても嬉しいです。

徐文忠老師は本当の武術家はどういうものか、武徳とは何かを体現で教えて頂きました。

(※動画は徐老師74歳頃で、私が教わった時には76~78歳でしたが、その技はまったく同様でした)




最近は伝統華侘五禽戯58代、安徽省亳州市武術協会の周金鐘老師からも連絡があって激励を受け何かしら「安徽省との縁」が、より強くなった実感があります。

昨年は徐文忠老師の門弟で高手であり来日されていた王金香老師に26年ぶりに再会出来、今年の夏はまた多くの安徽省武術隊での仲間や上海体育学院の友人が審判団や代表団となってシンガポールで再会できる嬉しさと、

そして今後に若き教え子たちもこれからも長く友好の交流で新しいコネクションのバトンを渡し、そして今回は健身養生班の皆さんが段位制や競技会への初チャレンジがあって、とても楽しみです。

多くの中国の老師の皆様への恩返しとして、私が師から学んだものを日本での活動に活かし今をも続くアジアでの友誼交流を行いながら、新たな相互発展を目指し、日本と中国との歴史長くある結びつきを大事にしたいと思います。


最近の日本国内にはアジアにおける歴史文化を知らない、失礼な非文化人があちこちの世代で多くなり、マスメディアに登場したりしています。

野蛮人化、あるいは退化している現象を日本国内で感じても、それもまた一つの戦後の影響における姿。

しかしながらこうしたことは「小人:しょうじん」達のことなので、今後気にせず、

私達の武術観では、若者たちへ大いに期待できることも感じ、全世代で楽しく今まで一緒にやって来れた有意義さを実感し重要視します。

ふと思うと、世界中で諍いを起こすような人達の多くの共通点を見ると、本当の友人や国際交流が出来ず、祖国を愛せず、

「仲の良い世界」が嫉妬で仲間に入れなくて、気に入らないから、起こしているのかな、と感じることがあります。

日本と中国の間で、小さな人達の起こす面倒事が出てきたとしても「大局」を見据えて「大人:たいじん」同士での明るい21世紀を構築できるように私達は努力と実践をしていきます。

何時でも時は必ず流れています。

私も何時か必ず老人になる時が来て、その時にはまた新たな若者達が武術活動で活き活きと武芸に打ち込み、日中の間でも相互交流で切磋琢磨し合って「手ごたえ」や「実感」のある有意義な人生を頑張って欲しいと思います。