今年の夏の「8月」は久しぶりに有意義で大変活発な武術三昧だった一ヶ月の日々を過ごすことができました。

今までの経験から思い出すと、日本武道館時代の1985年の夏。

翌年の1986年の安徽省武術隊での訓練を受け、山東省、上海と武術漬けの毎日を過ごした年。

そしてあの頃の10代だった時と同じようでいて、今は指導者としてでの先月の一ヶ月。

人生は過ごしてきた経験ですべてが決まっていくように思っています。


実は昨年末に香港国際武術大会の運営プロデューサーの系財林さんに連絡を取り、今年の予定を企画していました。

春節明けに系さんから連絡が来て「実は、今年から中国武術段位制の国際化を正式にスタートする。香港大会はその段位制の大会」ということが判り、すぐに準備に入りました。

しかしルールについての詳細がはっきりせずだったので昨年までの伝統武術ルールにおいて競技会の準備を行っていました。

今年の3月には鎌倉ハイキングと野外太極拳練習を通じて武士の都、鎌倉を皆さんで感じとり、神奈川県立博物館の見学会で東国武士団のことを学び、中華街では中華料理屋同士での営業戦争を見て、そして勝者のお店はどういうものなのか、という社会見学会も行いました。

そして2月から「中国武術段位制」の練習カリキュラムを前倒しでスタート準備をして4月から全体的に完全移行しました。

しかしながら5月30日のIOC会議でオリンピック項目に外れてから、6月に緊急会議があって下旬になって連絡があり、段位試験では考套は昨年で廃止され、中国人、香港、台湾、マカオ、その他外国人も全部が全部、これからは誰でも段位套路を受けなければ段位での技能評価は認められない、という通達が来て、実質1ヶ月ちょっとで仕上げました。

これは「中国武術段位制」で武学:武術理論を理解してあって、更に技能を実際に行えるか、指導者は指導ができるのかを中国国内でも日本人でも当然外国人の誰でもこの規定で試される機会になったということです。

そして8月5~9日の大会では技能点数でも、いい結果が残せて嬉しく思っています。

私たちの代が日本人では初の中国大陸での武術専門学校・武術隊などで10代からの武術訓練を受けてきた世代です。

それより以前は台湾か香港、講習会で来日されていた先生から指導を受けるか、講習を受けた日本人指導者たちの指導、活動するグループ。あるいは個人で創始した武術指導者のグループでした。

今から35年前の1978年に日中平和友好条約締結があり、それから1980年代前後に大きな中国ブームが日本で始まりました。

大陸から武術の先生が短期間で来たり、まだ当時は訪中団としてでの講習を短期間で中国に受けにいくか、という状況でした。

日本からも中国からも留学をするにも手続きがとにかく大変だった時代です。

1985年に私は上海体育学院で学び、翌年1986年から個人ビザが認可され民間人でも個人で大陸へ行けるようになりました(1986年の夏は初の安徽省武術隊での訓練)

そこからいつもまとまった時間が確保出来たら大陸へ行き、武術を学び訓練を受け、帰って訓練や指導、あるいは武道としての稽古をずっと継続して現在に至りました。

1980年代から日本国内にあった武術雑誌が2社ほどから発刊されていました。

一時期はきちんとした取材をしていたのですが、2社同士の顧問同士の対立が記事に反映されたり、販売数が落ちていくことでだんだん内容が不自然でおかしくなることに気付きました。

それから編集者の空想や妄想も入るようになり、私はこうした日本国内の武術的教養の歪められていく問題を目の当たりにしてきました。

太極拳系組織も何とか行政に取り込んでもらって運営を楽にしようとするような活動が中心で組織内部は派閥争い関係がいつも起こっていて、頻繁に仲間割れしたりするようなことを見ていました。

私は当時から、こういう人たちの思考構造が好きではありませんでした。

今から振り返れば、ほとんどが何かしら中国共産党の独裁主義に憧れたりしていた人たちの組織だったので、そういう流れになっていたのは当然だと思います。

今は中国も日本も変わりました。

今年度から中国は政府の指導者が変わり、中国はいつもそうですが、そういう時期は多くの組織も指導者が全体が変わる年でもあります。

8月の中旬には現在の中国武術の競技会(高難度、伝統ルール)国際大会にて総審判長を務めている花妙林先生が来日され東京~横浜と観光の案内をしたりして一緒に過ごしました。

自分が訪れた1989年、1990年の上海の思い出。

横浜武術院を創立し、2002年から学習交流拠点を上海、安徽省に戻し、上海国際武術博覧会や杭州国際伝統武術大会でも武術の国際化について花先生にはお世話になりました。

今回の来日期間にはずっと現在~これからの中国武術協会の行っていく方針やオリンピック化へ向けた再準備計画のこと、段位制を行う意味や内容のことなど多岐にわたって知ることができました。

そしてこれから一緒に行っていく計画の予定などをたくさん有意義なお話ができました。

何か人の縁とか人生での不思議な時の流れを実感しました。


先週の日曜は本籍地、深谷でのイベント、とても楽しい時間の連発でした。

そして火曜日は横浜銀行行友会の暑気払い。

校友会の皆さんとお話をすると、やはり元エリート銀行マンの皆さんですから、高い教養のレベルで語り合う日本の歴史、世界の歴史。

当然中国のこと。

政治のこと、経済のこと。

太極拳や気功のこと。

正しい健康効果についてのこと。

国内での中国が絡むとややこしくなる組織的に関係している多くの状況の問題分析とこれから。

これもまた深く有意義なお話が出来ました。


今思うと、改めて自分がやってこれた武術活動は常に誰にもいい方向へと進められるようにという思いだけをもって進めてきました。

これらも多くの皆様に支えてもらっていられたからこそ、多くの意見や要望があって共に努力をしてできたことに感謝の想いを実感します。

今これから10月13日(日)に行う、中国武術・健身気功交流会に向けた準備に入りました。

今年は皆様に感謝の想いを込めてステージから皆さんに恩返しのイベントを頑張りたいと思います。

よろしくお願い致します。有難う御座いました!