自分から中国武術の普及を指導する仕事を選び、思えばもう17年になります。

当然自分より前に大陸での本場の武術を教えるという仕事をしていた人はいませんでした。

やっぱり中国では武術を学ぶ時、どんなにでもその環境に適応する努力をして、とても長い時間をかけて多くを修得できました。

そのことゆえに自分自身で道を切り開いてきた自覚があります。

思い出してみると世間の多くは何かにいつも依存していて、いつも誰かにやってもらっている感じで自分からどんどんとやっていく人は少ないと感じていました。

いつも誰かの後にいて、様子を見て要領よくちゃっかり失敬していく、そんな風潮や考え方が好きではありませんでした。

自分は武士道をはじめ伝統日本人としての意識の規範というものを大事に考えています。

世間では常識と呼ばれるモラルやマナーというある一部の面では守っていても、行動力に力がなかったり、道徳的に弱さがあったり、精神力が弱ければ何も物事を達成することはできない、と思います。

たまに感じるのは、同じような考え方の人が集まればそれはそれで群れているという安心感の連帯はあるのかも知れませんが、

やっぱり反骨精神は大事で、人がやらない、避けるようなことでも勇気を持ってやり抜く意識を持つことは男性なら特に必要に感じています。

よく日本の未来を思う時、かつて生命をかけて海を渡っていった遣隋使や遣唐使のことを思います。

政が行き詰って人々が自信をなくし、風紀が乱れて世の中が退廃する雰囲気が漂う時にこそ何でもをどんどんとやっていくことが必要で、

何もやらずにいて、ただ物事の揚げ足をとっていたとしても何もよくはならない、と感じます。

今の日本は政治的圧力を強いられてきて西洋化をしましたが、伝統的日本人の生き方や精神は絶対に失ってはいけない、と思っています。

学校で何を学んだのか、社会で何を得たのか、今何を目指してやっているのか、

属する企業の収益を上げることだけに時間を費やすことが多くの人々のための人生なのだろうか。

最近考えるのは、何かがあって波乱が起きたとしても時代に生き残れる人間の能力、そんなものがとても重要だと実感しています。