私が武術の実技を始めたのは今から29年前の1982年の秋、13歳の時でした。

興味は当然その前からありました、時折テレビで紹介された少林寺拳法の大会でエキシビジョンで行われた中国武術代表団の演武公演や武術特集番組などをよく見ていました。

1981~82年ぐらいではまだビデオデッキが高額で20万円ぐらいしていて普及はそんなでもありませんでした、それから他に当然書籍などでも情報収集をしていました。

当時は月刊空手道に中国武術の記事が出ていたのと、空手と武術という雑誌もありました。

1985年に16歳で初めて上海体育学院で武術を学んで、それから1986年には安徽省武術隊へ訓練を受けにいきました。

それからずっと今迄に行き来をする継続した武術活動のライフワークが出来上がりました。

それに通訳を通したのは一番初めの時だけで、以降はずっと自分の言葉で話し、武術の先生方や普通の中国人とも見聞・会話して、中国での生活に溶け込んで過ごしてきました。

内容も10代、20代、30代、そして今の40代。そしてこれからと学んできた実体験が活きています。

今になって想うのは、日本では「イメージ・ギャップ:勘違い」があまりにも大きく成り過ぎてしまっている現状があります。

つまりは「気付いていない」ことをも「まだ判っていない」ということがたくさんあり過ぎます。

その中途半端な実情へ、中国大陸や台湾、香港あるいはそれ以外の外国人指導者が合流してきたということも多々あります。

私が10年前に感じたのは「根本の根本からやり直す必要性」でした。

先ず普通一般の常識的な日本人のライフワークに合わせる活動をしていくこと、そしてこれは小中学生時代の少年少女たちには基本的な学業とをしっかり平行していかなければならないこと。

高校生・大学生や社会に出て時間に余裕ができた時には人によってはどっぷり漬かって専門の訓練や勉強をするのも良いです。

そして普通一般の仕事をしながらでもリフレッシュのための気分転換や からだづくり、あるいはそれぞれのペースでできる中にでも専門的な勉強や練習もいくらでもできます。

私はこれからは今自分が持っている技能や教学法、そして理論などを関心のある皆さんにお伝えしてこれまで通りの本格的な普及活動、

あるいは余暇を使って副業として先生になるのもいいし、将来的に仕事にしていく人も出てきてもいいと思います。

今後は事業体とのタイアップで全国のスポーツクラブなどに出張指導や交流もやっていこうと思います。

しかしながら必ず時間はかかります、いやもし時間がかからなかったら良い普及活動や指導者育成などは絶対うまくいくことはないという方が的確だと思います。

それは今迄にたくさんの例を実際にいろいろと見てきました。

例えば、学業をおろそかにしてしまったゆえに、本ひとつまともに読めなくて日本の歴史や中国の歴史、倫理道徳のことさえも疎い、とか、会話さえ礼を失する印象を感じるとか、

それから発展して政治や経済のこともわからないし関心も興味も持たないという一般社会人としての認識が欠けてしまうのも良くないです。

またあるいは確かに学校は行って勉強はして、社会一般常識は知っているけれども本当の武術運動をしっかり学んだこと(あるいは時期は短く)はあまりない、という人が

いきなり急いで勉強して先生になって指導を始めてしまい、

よくわからないことだらけだから「まぁ、こんなものだろう」と適当に解釈してしまったことを広めてしまって後になってもう修正は利かなくなってしまうことです。


そこに日本人の受けてきた総合的な教育からによる生活感や意識感覚、を知ることのない 中国からの指導者が長期にわたって中国的な訓練を日本で行っても本当の意味での相互理解からによる効果や発展は難しいという現状は必ず出てきます。

ですから理想は日本人として正しい認識があって、中国でも学び、相互の意識感覚を達観して分別してその特徴の差異を整理して把握をしておき、

日本のライフワークに無理なく、楽しく活かせるかたちで時間をかけて長期的に自然体で合ったスタイルで根付かせていくことだと思います。

あるいは中国の人なら同じく中国での総合的な教育を受けてきた意識感覚から、日本での生活感を理解し政治経済、文化の違い、歴史認識にも差異があるし、

それは急いでどちらが正しい、という感覚ではなく、今は相互に「それぞれのかたち」で広まっている、という立場から未来を考えて、

互いに良くなっていくために、今をこれからの未来を築いていこうという実践が重要になると思います。

私が感じる歴史的背景で、今の中国に感じているのには、隋から唐への変遷の時に近いか、あるいは後漢の時期の魏が強大な力を持っている時代に似ているように思っています。

そして、その両方ともが「武術」が重要になっていた時代でもあり、日本とも良い交流ができた頃です。

今現在の日本を立て直していくにはとにかく人間の持つ総合的な能力が大事で、文化の力で脳が賢明になり、本当に優れた体育運動によって筋肉、骨、内臓を強健にして、

それから初めていい仕事ができて、衣食住の繁栄を今後もよりよく高められることだと思います。