導引と気功、この区分についてです。

共に中国発祥の「健身功法」つまり健康保持のための有意識的な身体操作方法で

良好な作用を確実にもたらすことのできる「功:はたらき・わざ」を持つ運動、ということができます。

その中で正式に認められた歴史文書に出てくるのは

「荘子」「淮南子」に出てくる「導引」そして正史三国志にある「五禽戯」です。


「気功」という言葉は歴史書には記されておらず

書物としては1933年、薫志仁「肺労特殊養法・簡称気功」にあらわれます。

1949年建国の中華人民共和国成立後、劉貴珍の内養功を大体的に「気功」として

紹介されたことで有名になり、そのことから日本でも紹介された気功のイメージは内養功、あるいはアレンジされたり模倣してつくられたものだと思います。

劉貴珍(1920~1983)
河北省威県に生まれる、1945年 革命に参加 1949年共産党入党 以後いわゆる県庁の建設科の貿易関係の職務に就く 胃潰瘍 肺結核 胸膜炎 神経衰弱を併発して起こし当時の現地治療では治療困難とされた。仕事もできなくなり休養に入り 叔父の劉渡舟に明末清初の頃に源流を持つという吐納の方法を教わり、回復をする。その自身の経験と方法を1949年3月から気功療法実践として宣伝し、河北省北戴河気功療養院にて当時の政治家たちなどにも指導をした。1983年12月27日63歳にて永眠。


現代は名称としては「気功」として有名になりました、

その内容としては吐納・導引・存思・黙祝・内丹・禅修・密修などの「法術:方法とその術 すべ」、

そして静功と動功と分類するようになりました。


中国のその他の文化をみれば長い歴史の中で分派と混同を繰り返し伝わっていることから

「本質」を見究めて行っていくことが必要なので

正しい文献や正統に伝承された技術を行うことが大切だと思います。

私自身は指導頂いた上海体育学院教授の邱丕相先生の研究した理論における「導引」と

中国安徽省亳州の第57代薫文煥先生と58代周金鐘、修海燕先生から教授された「五禽戯」の

古典理論と実践方法を拠りどころにしてその他の古代哲学の文献の出展を調べ、文字化された感覚が、


実際の体に起こる感触と照らし合わせて、合致するかどうかを研究してから 

現代でも通じる医科学的見地、体育運動的効果から普遍的に体現できるものから行っています。

(近いうちにその効果を科学的実験でも試してみたい、と思っています)

そうでないと「誤訳」や「思い違い」が生まれやすく、

結果としては身勝手な空想や妄像、願望などから起こる、誤った風説の流布、

あるいは自分自身や他人への洗脳術になりかねないと感じています。


こうなってしまうと身体に有益どころか間違った感覚と思考での行動を起こすようになり

(偏差とも紹介されています)トラブルを増やす元になるのを思います。

(また最近はこのような活動がもたげてきていますので注意が必要です)


実際に世間で多くの皆さんが持つ「怪しい」イメージで思われるのはそのためでしょう、

そのために私は区分して歴史的に認められている「導引」や「五禽戯」を重視しています。


現在の中国では大きな経済発展に伴い、日本にも広まっているエアロビックダンスやアメリカンスタイルヨガエクササイズなど

多くの世界中に広まっている運動プログラムをたくさん取り入れていますが、

年々健康に問題のある人は更に増える傾向にあり、精神病や肥満などからも将来への心身への不安が大きくなり、

具体的な運動方法を重視して医科学的見地からも大きな健康効果の得られる中国の歴史ある運動を見直そうということから、

全国の体育大学と中医大学に協力を求めて再編纂を行い「健身気功」の名称を使うようになりました。

簡化24式太極拳のように中国全土に普及をしています。


日本でもまだ内養功的なものは多く残っていますが本土ではほとんど見かけなくなりました。

それも「その時代のニーズ」であったのだということへの理解も必要だと思います。