ここ数年において日本での中国武術への認知は上がり、とても良くなったと思っています。


オリンピックムーブメントで武術競技をもっと広めよう、というはたらきもありましたが、


もう充分だと思っています。



これからはより成熟していかなければならない、と思っています。


見かけや格好良さを追いかけることを長く続けることはできません。


ある部分では、容認してもいいだろうとも思いますが、


業界の全体を見通して考えるに、


健康法として本当に大きな効果を揚げているか、とか、


競技部門では、そのほかの採点競技の世界に比べて何が秀でているのか、


文化芸術としてのパフォーミング・アーツとしては如何か、などを見直して、


サッカーのように誰でも原っぱでボールを蹴って頑張っていた少年が、ちゃんと上手になって


評価されていくような、運営組織の体制も考え直さなければならないと思うこともあるし、


ビジネスとしての報酬を得られるだけの「商品・モノ」としての価値があるのか、


やたらと他国の職業武術チームの存在をあげたりしていても、


共産主義的社会主義国家では公務員が相当するだけであり、


そんなに羨ましがるほどのものではない現実を見るのも大事です。



それに日本のプロスポーツ組織だって、現場を見ると実にシビアな結果主義で、


全生涯からみれば収入的には割りに合わない世界でもあるのです。



野球でもドラフト1位で指名を受けた選手でも怪我で引退したら、


居酒屋などの飲食店経営かコンビ二の経営者になっている人もあります。




日本の武術界は、これで充分だろう という気もします。


求めるものがあるなら、それを満たすだけの世の人々のニーズに応える努力をして、


そこから普通一般の素人の人からも賞賛を得られるような活動をするべきでしょう。



それに、一番大事なことですが、


武術は「金儲け」に役立つ手段でなく、


自分自身や人々のために役立たせる方法や術である、ということを忘れていけないと思います。