正史三国志は由緒ある歴史書であり、

作者は「陳寿 233~297」

中国・西晋の歴史家。安漢(四川省)出身 蜀滅亡後は晋に仕えた。


その書「三国志」は魏を漢の正統を継ぐ国とし、簡潔な名文をもって知られる(魏書、蜀書、呉書から成る)

※有名な「三国志演義」は 14世紀の羅漢中によって 史実が7割、虚構が三割で描かれた作品です。

ここでは、その「正史 三国志4 筑摩書房 ちくま学芸文庫」から紹介します。




方枝伝 第二十九 華侘伝

華侘(かだ)、字は元化、沛国 譙県(現在の安徽省亳州市)の人である~中略~

養性の術に通暁しており、当時の人々は彼の年がもう百歳にもなるはずだとしたが、

見たところは若々しかった。~略~

華侘は語った。

「人の身体というものは働かせることが必要だ。ただ極度に疲労をさせてはならない。

身体を動かせば穀物の気が消化され、血脈はスムーズに流れて、病気も生じようがない。


ちょうど戸の枢(くるる)が(いつも回転しているので)腐ることがないようなものだ。

(※「良く開く扉の軸である枢は虫が食わない、流れる水は腐らない」とあり、


ドアの軸は回転する場所でそれを身体全身の関節に例え、水は血流やリンパの流れに例えています)

さればこそ古の仙人たちは導引と呼ばれることを行い、熊のように木にぶらさがり、


鴟(トビ)のように首をめぐらせ、腰や身体を伸ばし、それぞれの関節を動かして、身体の老化を防ごうとしたのだ。

私にも一つ長生法があり、それを五禽の戯(五つの動物の運動)と名づけている。

第一が虎、第二が鹿、第三が熊、第四が猿、第五が鳥で、


(それぞれが動物のかっこうをして躍ねまわるのだ)


この運動によって病気が予防できるだけでなく、足腰も鍛えることができて、導引の用に当てることができる。

身体に調子の悪い所がある時には、起き上がってどれでもよい、一つの動物の戯を行えば、びっしょりと汗をかき 身体は軽々とし、腹も減って食欲がわく」

学んだ呉晋はこの術を実行し、


年は九十あまりにもなったが、目や耳はすこしも遠くはなく、歯は一本も抜けることがなかった。

とあります。

実際に07年の11月に訪問しましたが、


今現在の第57代伝人 薫文煥 老師は90歳を越え、記述にある呉晋と同じでした(現地で聞くところによると、華侘は病没でなく104歳まで生きていたということで、90歳代は珍しくないということです、すごいのはこうやって動いて、話せて、生活が充実していることです)

http://www.youtube.com/watch?v=tuNsMnFOENk&feature=channel_page

思うには運動。つまりは「身体を動かす」にも、必ず道理と法則があり、


ただ動かせばいいのではなく、どういった技術で身体をどのように用いることが大切か、ということを学びました。

07年の現地に赴き時間や空間を超え、学んだことは大きかったです。


そして日本人での学習者は第一号になりました。

今週は、来月に控えたこの現地、再び安徽省亳州市の五禽戯ツアーを行うので、

この解説を加えてからレッスンを行っています(結構、好評です)




これは古代中国の2~3世紀の史実ですが、大事なことはこの現代社会の中で感じるのは、

これだけ便利で 健康食品など食べ物にあふれ、医療の著しい進化がある、


といわれる社会であるというのに、実際のところはどうか。



集計を取れば「将来への不安」があるか、どうか、と行えば 圧倒的に「ある」という答えが多く出てきて、

尚、その内訳は「健康不安」が毎年ダントツでトップです。そして原因不明の病気はむしろ増えて来ている、という現状。

これは何を意味するか、ということです。

はっきり申せば、ほとんどが「効果のないもの」が多い、ということです。



健康産業の企業各社が時に、経済新聞や雑誌などで さも偉そうに売り上げを誇ったりしています(その内容といえば、実はアイドル起用や言葉のあやで宣伝効果があって売り上げが倍増なんていうのです)

消費者はそれを気付かずに この今も新製品が並べばせっせと買い上げていることでしょう。

全部が全部、意味がない、とはいいませんが、


本当に効果があるのであれば新製品は要らず、「健康不安」が解消されていくはずです。



本来は「医の術は仁術(おもいやり)である」といいます。



現在は「医の術は簡単に儲ける為のテクニック」なのでしょうか。

(片方でメディアを利用しては健康不安を煽って、もう片方で健康グッズを売りつけるようなやり方です)



私は当然、このような世の在り方を達観してみています。


思うに自分には「将来への不安」や「健康不安」を感じることはほとんどない、と云えると思います。

自分の身近な人にはいつも導引と五禽戯を優先して一緒に行っています(武術や太極拳も含む)

その顔は皆さん充実していて、いつも活き活きとしています。

私が今現在指導した中で脳梗塞(長嶋茂雄さんと同じ病気)で倒れた方が2人いて、


現在は共に後遺症も回復して完治しました(一人は走ったりできます)



今の世の中で、一番大切なのは「正直」であること。



武術界や太極拳や気功の世界でもでたらめな捏造とか偽装などが多くある現実。

これは我々の身近な社会の小さなところからも見直さなければいけない、と思っています。

つまりは個人個人から 無意味な悪ふざけやおちゃらけを辞めること。

ホラ吹きや口からの出任せを言うのを辞め、企業や団体はいい加減なことやハッタリをかますのを辞めること。

そうすればすぐに世の中は良い方向に向かう。

そう思っています。


自分がこういった中で、今までに本物だけを捜し求めてきました。つまりは直接ダイレクトに会いに行く。


学ぶ。それを練功し伝え広めていく。

動作を学んで終わりでなく、中国の現地で自分が学習してからすぐに自身が毎日の実践で練功していきます。

そしてそれから人に伝えていくことで、その本当に良い効果を共感できて


心身共に健全なコミュティーを形成していくのが目標で「人間は時間が経つと全てが駄目になっていく」


という幻想を打ち破ることが大事だと思っています。