話題の三国志を描いた 映画「レッドクリフ」を鑑賞してきました。


http://redcliff.jp/index.html


レッドクリフ


三国志だけあって、どれも素晴らしい人物像が描かれていますが、


これは「人」それぞれの「今の立場」つまりは、


その「人に仕える立場」か「トップたる責任者」で老若男女が見れば 


それぞれに感じ方は異なるものであろうと思っています。

そしてそれは時間が経つと共にまた変わるものだと思うのです。



先ず所感を述べるにも、


これは映画の話しですが「三国志演義:羅漢中」で出てきて 危められた多くの犠牲者たちにも祈りを捧げておきたいですね・・


乱世の時代、まだ中国という名前もなく、同じ国家、同胞という概念の生まれる前の出来事で、生きていくならば、戦うしかないという選択しかなかったら 


人はどうしなければならなかったか、自分がもしこの中にいたら何を実際にするだろうというか、


いう前提での感想です(人の選び方、生き方を誤れば己の存在が危ういということです)


現代社会でも私の人生観では 現実からは、いつも逃げることなく闘ってきた立場からも思うのですが、


最近は、調べてみると電子ゲーム上での感覚や、自分は安全地帯を決め込んだお遊び感覚から眺めるのでなく、

真剣勝負で逃げ道の無い、多くの猛者だらけの修羅場をくぐる命を懸けた男気の闘いをも感じて欲しいと思います。

武術の「武」とは「戈:ほこ」を「止:止める」概念をいいます。

それは「平安」を望むために、世を乱したり 精神汚染を防いだり、
暴力や理不尽なはたらきによる服従から守る自衛の手段です。

愛する者を守り、大切な地を守るためなら わが身を投げ捨てて戦う能力と誓いでもあります。

先ず、

孫権、孫子の兵法・孫武の末裔ともいわれましたが、


世話になり育てられた老臣達の下においてこそ その存在があり、魅力的な水と緑の豊かな江南地方、呉の国の王ですが、それは優れた名将 周瑜(トニー・レオン)達がいてくれたからこそ守れたのでした。

そして、かつて私が一番好感をもったのは劉備でした。

民を愛し、兵を愛し守りました・・しかし愛しすぎるからこそ、戦闘を避けることになり過ぎて、


国防と外交が苦手となり、外敵から見れば隙も多くなりますが、それは孔明と 偉大なる武将 関羽、張飛 趙雲のおかげで守られたのです。


こうして曹操を思えば、この中で一番の年長者であり、孤独な武将 そして文学に秀でた政治家です。

後継の子孫をも既に残し、安全な国を強度に守るために、攻撃は最高の防御だと実践した人物。

蜀と呉からは嫌われる存在ではありましたが、


魏の国民たちから見れば住む地はいつも平定し守られた大地で安心した生活を送れたことで郷土の人々からは絶賛された英雄でもあります。思うと一番強かった時のアメリカ的な発想と曹操は通じています。

(しかし今映画の中で天下の曹操が思い出の「女性一人」の為に戦いを起こす設定では昨年、曹操の地元を訪ねてきましたが、有り得ないことだとは思います)


http://ameblo.jp/yokohamabujutuin/entry-10056458982.html


この作品でよかったな、と更にいいと思うのは、全てのエキストラや脇役を含む「台詞:セリフ」が良かったと思います。

どのセリフもそれぞれの役割や人柄、立場を表していて 無駄な言葉は一切なかったように思います。

それに中国語を少しでも知っていると もっといいニュアンスをも楽しめると思いました。

それは、曹操から屈辱的な挑戦状が送られてきて、孫権は迷い 妹の孫尚香に喝を入れられ、

そこへ周瑜が現れ、孫権の心情を察し 彼の得意だった弓を取り「使いましょう」と和訳ではいうのですが、

あそこは「没用了吧」と言っています。

「(これは)もう使えないんでしょうか・・」という孫権の実力を知りながら、

今現在に自由に発揮できない もどかしさを語るところがありましたが、

あそこはやっぱり原語が良かったですね、そして孫権は勇気を出して
曹操に立ち向かう決意をするのですが、いいシーンでした。



そして この映画で描かれた武将、関羽と張飛、趙雲は本当に人間として素晴らしい。

今の現代青年たちに歴史に名を刻む「人の生き方や哲学」を彼らから
是非とも学ぶべきだと 心から思います。



それに中国武術の原点、十八般武芸も多くの武器もたくさん出てきて

古代の知恵をこらした戦闘シーンも圧巻で現代人向けにアレンジされていて、とても良いと思います。

孫尚香も急所のツボを打つ点穴の使い手にもなっていて、

見所は武術指導は七小福にもいた知る人ぞ知る「龍の忍者」の殺陣師のユァン・ケイ。



レッドクリフを撮ったジョン・ウー監督は黒澤作品を参考にした、と言っています。

感じたのは「羅生門」原作は芥川龍之介の「藪の中」です。

そのアクションも殺陣も素晴らしい出来だと思います。ジョン・ウーはかつて男たちの挽歌シリーズを撮りました。

やっぱりその中でもチョウユンファには出てもらいたかったな、と思います。

(個人的にはチョイ役でいいから時折曹操を諫める渋い華侘を演じてくれたらもっと良かったと思います)



配役は全体的にあっていたと思います。


曹操を演じたチャン・フォンイーはかつて「さらばわが愛 覇王別姫」に出ていた名俳優で、史実的には非常に雰囲気が似ていると思います。

トニーレオンは、相変わらずいい味を出しています。

初期のワイルドブリットやチョウユンファとの「ハード・ボイルド」での共演はとても良かったです。

その後ウォンカーワァイ監督作品の「欲望の翼」における ラストシーンでの屋根裏部屋での殺し屋の佇まいのシーンは本当に短い時間なのに俳優学校の同期のチャウシンチーが自身の映画でパロディーを演じるほど大きなインパクトを与えた素晴らしい演技をしています。

http://jp.youtube.com/watch?v=khVl1_h6KTE


次回のパート2は来年の春に公開される予定です。

それを観てから、また第2回の曹操と華侘の故郷を訪ねる五禽戯ツアーを行います。

今から楽しみですね。


ちなみに「三国志」で、私が一番尊敬する人物は当然、

神医「華侘」です。