7月に入り、3ヶ所のスポーツクラブと野外太極拳教室で健身気功 五禽戯の期間限定のスペシャルレッスンをスタートしました。
ヒントは、昨年本場の安徽省の五禽戯の創始者の華侘の故郷を訪ねて学び、認定も受けてきました。
それから半年間にいろいろと工夫し、フィットネスに相応しいプログラムを作りました。
五禽戯の出会いは、85年に上海体育学院にて学んだ恩師 邱丕相老師が2000年に東京へ来られて馬王堆導引術の講習とシンポジウムで再会したことがきっかけでした。
その時は 武術選手としては、もういいから 後進に道を譲れという引退勧告を一度受け退いたものの、
チームの意向がまたあって、再び一度だけ復帰をした頃でした。
やっぱりこれまでには大怪我もいくつかあり、後遺症にも悩んでいた時期でした。
導引術を学び、武術運動のルーツになるものを感じ、老師に訪ねたところ、
今五禽戯の研究をしていて、新しい気功のプロジェクトに携わっている、と邱老師に聞かされました・・それが後の健身気功五禽戯だったのです。
その後、その導引術で自分の後遺症を自分自身で完治し、実はとても すごいことをまた学んだのでした。
そして、その時に、
邱老師には、とても大事なことを教えてくださいました。
そのシンポジウムの途中で老師が私に話したことです。
「日本は先進国で経済的に素晴らしい力を持っている、しかし 新しいものばかりを求めすぎていないかい?我々は1800年の歴史ある運動文化を大事にして研究している。
君らの日本国のように一年一年を慌しくとも生きる生き方もあるだろう。しかし1800年以上続く文化を今にでも継続する努力を考えたことがあるかい?」
と言われた時に、グッと考えました。はっきりと言ってくださった老師に嬉しく思いました、思い上がった自分自身を戒め、見直すきっかけになりました。
邱老師とは 1998年に 山東省の青島で行われた国際大会に総審判長として来ておられた時にも再会しましたが、
当時はある派閥対立があって老師とは話しかけにくい雰囲気の中でお会いした時も非常に気さくに声をかけて頂きアドバイスをして下さいました。
今から思えばこういった仕草や行動が今の自分にも影響を与えてくださっているのを思います。
そして意外にも、自分は2001年の北京五輪招致活動にも協力をしてきて01年の7月に招致が成功した後は、何か中国にあまり興味がなくなってきました。
オリンピックを知っているアメリカに行きたくなり単身1ヶ月渡米しました。
アメリカの国内の中国武術の大会を見にいきました。
そこでまた偶然に、邱丕相老師にお会いして「よく会うね~ とにかく不思議な縁だ!」と仰いました。
そしてこのときに念願だった映画少林寺の胡堅強老師に初めてお会いでき指導も頂き、偶然にも全米中国武術大会の主賓のお二人とご一緒させてもらえたのも忘れられない思い出になりました。
それから、1年後・・様々な人間関係から来る厄介なトラブルに巻き込まれ、嫌になったので自分は北京派閥からは離れることにしました。
そして、
2002年に上海に戻ったら、五禽戯は完成していて、体育学院では他の易筋経や八段錦などの気功や気功体操という分野にも 新しいアレンジを加えた套路をたくさん作っていて、その場に出くわしたおかげで多くを学ぶことができたのです。
その後、健身気功五禽戯を学び、日本ではテキストが04年にベースボールマガジン社から発行されました。
すぐに私はフィットネスクラブからの依頼でレッスンでの指導を始め、インストラクター養成コースもスタートしました。
しかし、やればやるほど興味が沸き起こり 五禽戯の故郷に行きたいな、
と我が先輩の元全中国武術界の剣術の雄でもある賈平さん
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に聞いてみたところ、じゃあ自分が行ってくる、と言って安徽省の亳州市を訪ねてきてくれました。
そこで、伝統華陀五禽戯57代目、薫文煥老師と 58代 周金鐘 修海燕老師と出会い 私の話をしてくれたところ「日本人が五禽戯に関心を持ってくれるのは光栄だ、嬉しい 是非お出で!」と言ってくれたので昨年の11月に訪問をして学んで来ました。
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私はそこでいろいろと学ぶ機会があって、たくさん驚いたことがありました。
安徽省亳州市は、老子と荘子、三国志の曹操と五禽戯の創始者神医華侘の偉大なる歴史に残る人物を輩出した地だったのです。
そして曹操は魏の国の王であり、亳州の地は魏中心地であり 2世紀にまだ日本が古墳時代であった頃に日本からの使者が来たという場所でした(魏志倭人伝)
亳州市は非常に長い歴史のある中原の大地の中にある町で、
公式に訪ねてきた日本人としては2番目(一番目は提携都市を結ぶためにやって来た四万十市の職員たちだったそうですが、視察をしてすぐ帰ったそうです)五禽戯を学びにきたのは第一号だと喜んでくださいました。
自分は亳州市で短い期間でしたが、とにかく多くを学びました。
華侘の功績ある五禽戯を日本で広めたい、と心から感じたのです。何故なら今の日本社会は少子高齢化社会といっています。
中でも感じたのは、今までに頑張って来られたたくさんの人生の先輩でもある日本の皆さんが身体的な不安」や「気兼ね、気掛かり」を多く持つ現実を見て 自分から楽しく元気になれる運動に、これは必ずなるだろうと感じたのです。
今や日本では「太極拳」が有名ですが、太極拳の成立は「明」の時代で、その頃の日本は日明貿易で有名だった室町時代ぐらいのことです。
少林寺の武術は「唐」の時代で、7~8世紀です。
五禽戯の完成は2世紀であり、やってみると わかりますが武術の「套路」運動の原点であり、京劇の西遊記の孫悟空の動きや「猿拳」の動作、これから日本でも公開される映画カンフーパンダにも出てくる南拳の「虎拳」や「鶴拳」のルーツであり、「パンダ:熊猫」ですが「熊」も五禽戯からです。
五禽戯の「五」は「五行説」につながり、中医学における五臓六腑のはたらきと四季の身体の反応と、その強化運動に結びついていて既にその時代に完成しているのは驚くべき功績だと思います。
亳州市で学んだものを半年間かけて、伝統套路と健身気功の二つを研究し尽し、日本人に合うように工夫してようやくプログラム化できました。
それを自分にも一番所縁あるクラブで始めました。
来年5月のGWにまた安徽省亳州市を訪問します。
これからの日本でも、たくさんの皆さんに「五禽戯」を広めたい。
これは自分にとってもとても光栄な役割を授かったと思っています。
以下のクラブと野外太極拳教室で行っています。
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野外太極拳教室
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関心のある方は、どうぞ気軽にいらして下さい!