去年買ったもの○か×か。
FiiO(フィーオ)はポータブルオーディオ製品を得意とする中国の大手デジタル機器メーカー。
K11はDAC(ダック)と呼ばれるオーディオ機器で、デジタル化した音声信号をアナログ信号に変換する働きがあります。
中国のDACとはまさに北京ダック
FiiOの本社は広州でがす
音声信号をデジタル化するとダビングや伝送時に音質の劣化を防ぐことができます。
ただし一般的なイヤホンやヘッドホン、スピーカーなどはアナログ信号でなければ音声を再生できません。
そこでDAコンバーター(DAC)という回路によってデジタル信号をアナログに変換しています。
皆さんがお使いのスマホや携帯音楽ブレーヤー、CDプレーヤーやPC、デジタルテレビなどのデジタル機器は全てDACを内蔵しています。
ではなぜK11のような別売りの単体DACを使うかというと、スマホやPCなどの内蔵DACは音質よりもコストを優先しているから。
単体DACはスマホやPCの音質を手軽に改善できるアイテムとして多くの人に愛用されています。
売れ筋の単体DACはスマホに接続できるポータブルタイプ。
ヘッドホン出力に対応し、ヘッドホンアンプとも呼ばれるモデルです。
それに対してK11はPCやホームオーディオ向けの据え置きタイプ。
価格は23000円前後。
据え置き型としては安価な部類です。
サイズもCDケースを三枚重ねたぐらい。かなり小さい。
色はシルバーと黒の2タイプ。
電源は付属のACアダプタを使用。
入力端子はUSBとRCA同軸、および光入力。出力はフロントに6.35mmと4.4mmバランス出力ヘッドホン端子、裏面に赤白のアナログRCA端子を備えています。
ヘッドホンアンプ部はフルバランス構成で最大出力1400mW。
バランス出力とは、左右のステレオ信号の流れを完全に分離させた接続方法のこと。
高級ヘッドホンの多くはバランス接続に対応しています。
上はアンバランス接続のステレオミニプラグ。
下はバランス接続専用プラグ。
バランス接続は黒い絶縁ラインが多く、直径がミニプラグより太いのが特徴です。
K11の音質はとても良いです
PCにK11をつないで最初に音を聞いたときには、想像以上の改善ぶりに思わず笑ってしまいました。
価格を考えると文句のつけ所がありません。
前回ご紹介したソニーのモニターヘッドホンMDR-MV1をバランス接続で試してみたい方にはうってつけのDACだと思います。
K11の残念なところは使い勝手が良くないこと。
ひとつのダイヤルで電源のオンオフと音量調整、入力切り替え、メニュー切り替えなど多くの操作を兼用するため、電源オン時はダイヤルを押せばすぐにつくけど、電源オフ時は約5秒の長押しが必要です。
K11の最大の欠点はファームウエアのアップデートがおっかないこと。
ファームウェアの更新作業はWindows PCに限られます。
ところがGoogleクロームでは不審なファイルと認定されてダウンロードできず。
別のブラウザでダウンロードしてアプリを展開すると、今度は「Microsoft Defender SmartScreen は認識されないアプリの起動を停止しました。このアプリを実行すると、PC が危険にさらされる可能性があります。」という恐ろしい警告が出ます。
腹をくくって起動すると、まるでWindows95時代のようなインストーラーが。
表記は英語で、ダイアログの一部が中国語。
このインストーラーは汎用のため必要なファイルを手動で選び、アップデートの終了はアプリと本体の両方で行うという面倒な手順を踏まなければなりません。
そもそもファームウエアのアップデートで、ファイルのダウンロードやアプリの起動をPCに拒絶されること自体が恐ろしい。
Windows用のドライバーも中国のオンラインストレージを経由するため、ダウンロードするのが怖いです。
結果的には問題なく使用できてはいますが、ビビリの私にはK11を他人様にお勧めする勇気はありません。
価格を考えると性能は二重丸なのですが。
FiiOの製品を購入する場合は国内正規販売店を利用しましょう。
安さに釣られて海外通販で購入したりすると、何が起こるかわかりません。
eイヤホンは試聴ができてアフターサービスもしっかりしているのでおすすめ。
楽天市場にも店舗があります。
それにしてもFiiOといえば、今やポータブルオーディオの世界的メーカー。
なのに新製品のK11のファームウエアアップデートがあんなにおっかないとは思わなかった。
国産の手頃なDACがほとんど絶滅してしまったのが残念です。
おしまい
本日もご覧いただきありがとうございました。