南三陸町歌津、漁業の協業化、共同化の問題② | 南三陸町の早期の復興を願う。

南三陸町の早期の復興を願う。

3.11東日本大震災により、いてもたってもいられなく、辿り着いてご縁があった町が南三陸町。
そこで様々な現地の人、支援者の方と出会いました。
その町の人々の復興を願いながら、更新するブログです。

前日からの続き



「作業小屋だって、まだ電気も海沿いはないし、瓦礫がたくさんだから建てるところもない。まして、協業しないと国からの支援は入らない。」

「歌津でも名足(なたり)の方では今度作業小屋を建てると聞いてますけど、・・・」

「あっちは集落でも絆が強いのさ、伊里前(いさとまえ)ではここは商業とか中心地だったし、漁師の割合が向こうに比べて少ないのさ、ましてこっちは高齢だし、向こうは若手も多いのさ」

「そうですよね、向こうは漁師世帯の割合が8割超えてるとか書いてありました。こっちは4割位でしたっけ」

「それくらいさ。だから中々協業も難しいのさ」

「中山、馬場、名足(なtり)地区などは若手も多いけど、こっちは高齢者ばかり」

「なにもかも協業しないと国から支援が受けられない。みんな反対してるよ。」

「確かに他の地区でも支払いの据え置き期間の間に体力がついて、前のように家族単位とかでするときがくるときに、この船は誰の物になるとか、必ずそういう問題がでると聞いてます。」

「絶対、そうなるさ、今までもそうだったんだから・・・」

「だから、漁協の方に昨日言ったのさ。協業はせめて二人からにして欲しいと。そうしないとボイルの機械とか順番に使えないし、ワカメ揚げるときは個人個人でやるから作業の順番もどうにかなるか判らないし、たいして分け前ないだろうし・・・、作業小屋も5人分なんて置けないし、問題が色々あるっちゃ」

「ローンだってせめて半分以下にならないと新たにローンなんて組めない・・・」


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国の3次補正案がいよいよ可決されます。

国から支援を受けるためには、協業化か法人化しか道がありません。



こちらが第3次補正予算の概要になります。

平成23年度第3次水産関係補正予算の概要



養殖業者への国の支援策も協業化や共同化が条件。

作業場は個人には支援がおりません。

個人で支援を受けるには協業化ができなければ、法人化しか道がありません。

私が支援している牡蠣養殖業者さんは他の人は後継者がいなく高齢化の問題もあり、他の7世帯の牡蠣養殖業者さんは全てワカメに切り替えたのです。従って協業化が必然的にできません。

そのため、法人化しましたが、国からの支援策は作業場などは法人化しても個人には支援がおりません。

今まで、南三陸町歌津では協業したり共同して作業したりという事はほとんどなかった地区です。

しかもこの支援(第3次補正予算)は全額後払い形式となっており、資金がない人は前に進めません。

新たにローンを組め、据え置き期間も長くとってあるような支援策もでていますが、ローンが残ってた人は新たにローンを組む不安。高齢化によりローン組んでも払えないからと辞めて行く人が多いのも実情だそうです。



漁協も支援策の内容が解っていなかったりしますし、漁師さんたちがそれで解るわけがありません。

ましてもう待ってられないとワカメなど各、湾ではじまっており、その隣同士の湾を集約していくなどという構想は現地の人に理解を得られるとは到底思えません。漁業権の問題も然り。

国や県の支援策と地元の方との考えに相当ギャップがあり、今後この溝を埋めていくのは容易な事ではないように思えます。



石巻や気仙沼に挟まれた、この南三陸町でも志津川方面と歌津では大きく事情も異なります。

漁協の組織、湾の形状、後継者の問題、地区地区により異なります。



競争に勝ち抜いていかなければ生き残れませんが、その前に大きな問題が数々あり、市場原理だけでは通用しない漁民の思いが数々あります。

先人からの思いをそれぞれの人が背負って生きてきました。

自然と共存し、恩恵を数々受け、感謝してきました。

同じ漁師としてライバル関係にありながら、海の男達は協力し、共栄共存し今でも生活しております。

暗黙の了解で仕事も成り立ってもいます。



もっとこの思いを尊重し、国、県としても融通の効いた支援の実行を願ってやみません。