【『祖谷物語 おくのひと』事前解説】 | ヨコハマらいぶシネマのブログ

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ジャック&ベティを中心に活動する音声ガイドチーム『ヨコハマらいぶシネマ』の活動や告知などをつらつら綴ります。




ヨコハマらいぶシネマです。

今月の音声ガイド付き上映は、ガイド担当者のイチオシ作品です。

タイトルにでてくる「祖谷」という地名は「いや」と読むのでご注意ください。

ガイド担当者による事前解説をお楽しみください。



【『祖谷物語 おくのひと』事前解説】



日本最後の秘境、「いや」

夏、秋、冬、春と移りゆく壮大な山々を背景に35ミリフィルムで綴られる、

人間と自然との夢幻的映像詩



<あらすじ>

ある夏の日、東京から青年工藤がいやにやってくる。

いやではトンネル工事をめぐって、

地元の建設業者と外国人の環境保護団体が対立していた。

工藤は山奥でおじいと18歳の春菜に出会う。

ふたりは電気も水道もない暮らしをしていた。

二人の暮らしをみて農業をはじめた工藤だったが、自然の厳しさにうちのめされる。

しだいに弱ってゆくおじいを心配する春菜。

そして春菜の生活も変わってゆく……。



いやは徳島県三好市。

四国のほぼ中央に位置し、標高1000mを超える山々と断崖絶壁の峡谷に囲まれた

日本三大秘境の一つとして知られています。

冬には大雪で外界から孤立するために独特の文化と生活習慣が形成され、

平地の人はいやの人々のことを山奥に住む人という意味で「おくのひと」と呼んだのです。

現在も人口3500人ほどの限界集落です。

また平家の落人が逃げのびてきた地としても知られ、

安徳天皇のお墓や平国盛(たいらのくにもり)が

植えたとされる樹齢800年の杉も存在しています。

かずら橋は平家の落人が追ってから逃れる為いつでも切り離せるようにと、

シラクチカズラという蔓で編むようにかけられた橋です。

深い緑に覆われた山々が紅葉し、雪に覆われる。その美しさに圧倒されます。

風の音、吹雪の音、水の音、鳥の声など自然の豊かな音をお楽しみ下さい。



監督の蔦哲一朗(つた・てついちろう)は30歳、

前作「夢の島」は国内外の映画祭で好評を博しています。

作品の制作会社ニコニコフィルムは

監督が大学時代にたちあげた映画サークルから進化したアナクロ映画集団です。

撮影スタッフはほとんど20代で、フィルム撮影にこだわった作品を発表しています。

「いや物語」は三好市からの助成や地元の方々のカンパも募って制作した

究極の自主制作映画ともいえます。



<登場人物>

春菜 18歳で長い髪をポニーテールにしている。柔らかい雰囲気。

   演じているのは、武田梨奈(たけだ・りな)

工藤 30歳半ば位。濃い眉にはっきりした目。

   演じているのは、大西信満(おおにし・しま)

おじい 80歳位。やせて精悍な顔に深いしわが刻まれた老人。

    演じているのは、田中泯(たなか・みん)

アキラ 20歳くらい。茶髪でいつも頭にタオルを巻いている。

    演じているのは、村上仁史(むらかみ・ひとし)

社長 アキラの父親で土建会社の社長。くちひげをはやしている。

琴美 春菜の同級生。長い髪で目が大きい。

ばあやん 80歳くらい。小柄で杖を持っている。

雨宮先生 長い髪。40歳前半くらい。



主役の武田梨奈は「ハイキック.ガール」や「ヌイグルマーZ」など

主演作があるアクションスター。

空手黒帯の運動神経のよさが、山を登るリズミカルな足取りに表れています。

大西信満はみなさん「キャタピラー」でよく御存じのとおり、

故若松監督の作品になくてはならない俳優さん。

「さよなら渓谷」でも存在感のある芝居をみせています。

この映画でも彼ならではの演技がみられます。

田中泯は舞踏家ですが、

その存在感から「たそがれ清兵衛」や「永遠の0」など多くの映画に出演しています。

今回は全くセリフのない役で、舞踏家として鍛えた肉体で多くを語ってくれます。



上映時間は2時間49分ですが、長さを全く感じさせない作品です。

作品の世界に入り込んでしまうような、不思議な魅力を感じさせる作品です。

蔦監督も音声ガイド上映を喜んでくださり、上映後は監督の舞台挨拶があります。

ガイド担当、イチオシの作品です。みなさんぜひお越しください。お待ちしています。



【9月7日 音声ガイド付き上映のご案内】



『祖谷物語 おくのひと』 

日時:9月7日(日曜日)16時05分

場所: シネマ・ジャック&ベティ



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お待ちしております。



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