ライ麦畑でつかまえて/てっきり恋愛小説だと思ってた本 | 横浜で読書とインプロと農業(旧:横浜読書会)

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2014年まで横浜の読書会&勉強オフ会を開催していました。現在は、発達障害の市民活動のため、読書会の開催をお休み中です。

こんばんはー!
一昨日まで台湾旅行に行ってました。
香港、台湾と2回目の海外旅行です。


これは世界3番目の高さという台北101
テナントに入っているディンタイフォンで気張ってみました。
大変美味しくてよろしい(* ̄Oノ ̄*)

配膳がスピーディーすぎてゆっくりできなかったけど(苦笑)
でも、美味しい!


旅行しながら小説を読むのが好きなんだよね。
てなことで、今回の旅行では2冊の本を読みました。
そのうち1冊を今回は紹介したいと思います。


有名過ぎるこの本を
今回は読んでみました。



ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)/白水社
¥950
Amazon.co.jp


まだ読んだことがなかったので。
有名すぎる本って敬遠しちゃうってことないですか?
それですね。

題名からして、恋愛小説だとずっと思っていたのね。

したら、読書会でこの本を紹介してもらった人から
主人公がケンカ売りまくってる本ですよ
って紹介されて、おやイメージが違うな、と。


気になって取り寄せてみたものの、なんとなく取っ付きにくく時間は過ぎ・・
今回の旅行で読まれることになったこの本。

読んでみました。
途中からグイグイ引き込まれて・・というのを予想していたのですが、
やっぱり最後まで読むスピードはあまりあがることがない本でした。


主人公のホールデンは
シュールというか、なんというか、
穿った物の見方をする少年なんですね。

なんですけれど、「ああ、わかる」という部分も多くて。
かといってホールデンみたいにずっとそれをしていたら
生きるのがつらくなってしまうだろうな
ということも感じますね。


全力で、ずるさやこっけいさを鋭く射抜いて
嘲笑う、思春期の痛い少年。てかぼんぼん。


時々、主人公にイラっとすることもあります。
いいかげんにしろよ、この甘ったれめ!
という感じです。


主人公の独白という文体で
最初から最後までこの本は進んでいくのですが、
重要なことをポロリと語れるのが
やるなと時々感じはします。


かといって、マイベスト本には決してならない本。
正直、世界的な評価をなぜこの本が得ているのかわかりませんでした。
最初この本の原稿を出版社に持ち込んで断れたという逸話あるそうですが、
わたしが編集者でも、断ったと思います。
「なんかこの人頭がおかしい文章書くな・・・」と。

なんだか、精神のバランスが乱れた匂いがするんですよね。


この本の高い評価の基準として
50年代のアメリカの若者言葉がふんだんに記載されていて
歴史的な価値が今後見込まれるということがあるそうです。

日本語訳だと分かりにくいことではありますが、
それでも現代ではない空気感を味わえるというのが
この本の一つの大きな良さであると
そこはわたしも評価をしています。

といいますのは、この本に思考を浸してから
とある小説のさわりに触れた時に、
これまではなんとも思わなかったのに、
「あれ、なんか右翼的な思想がプンプンするぜぃ」
と感じたことがあったからです。

やはり同時代の小説ばかり読んでいる
盲になってしまう部分がたしかにあるのでしょう。
啓蒙であり怖さであり。

自分のパラダイムを相対化できるということを教えてくれたのが
この本を読んで得られた貴重な体験の一つです。
その点で、この本は心に残る一冊となりました。


感動とはかけ離れた内容ですけど、
小説を読んだら感動しなくちゃいけないというものでもないし、
こういうのもアリですね。


ライ麦畑でつかまえて
気になる人は年末年始に手に取ってみてはいかがでしょうか


追記:主人公はきっとイケメンだと思う