残虐記  桐野夏生

2004年発行




少女誘拐、監禁事件。

謎の一年間。

そして、25年後の「真実」。


読み進む途中で、前に読んだことがあるかも…

でも最後忘れてわからない、なので新たな気持ちで読めた



私の記憶では10年間少女が誘拐監禁されていた事件が実際あった

少女の自由な時間を奪い、腕力のある大人が暴力で従わせ、小説のような出来事が本当にあった事に驚いた


本書はフィクションである

でも、実際のあの事件とどうしてもダブってしまう

残虐で酷く被害者は忘れたくても忘れられないジレンマがある


発見されてからまわりの人々は好奇の目で彼女を見る

監禁中何をされたのか、乱暴されたのではないか

そして本人の言葉を探る


自由という名の束縛があり、束縛という名の自由もあるのだ。


本書の彼女は自由となって苦しむ

誰もわかってくれない気持ちが、加害者にして理解者

私を救うことのできる唯一の人間、と思ってしまう


出迎えに来た大勢の人たち 

人の不幸を覗き見る「罪なき人々」の視線


不幸な出来事を言葉にすることで、更にそれが数倍になって苦しめる

彼女の自由を奪ったのは誘拐監禁犯だけでなく、

家族や周りの人達、それは…



20年前の作品に、感動した想いがよみがえり

桐野夏生さんの凄さを再確認した