すべて真夜中の恋人たち
川上 未映子
芥川賞作家が描く、人生にちりばめられた、
儚いけれどそれだけがあれば生きていける光。
わたしは三束さんのことを思いだして息を止め、
ふたりで話たことを思いだし、とてもすきだったことを思いだし、ときどき泣き、また思いだし、それから、ゆっくりと忘れていった。
入江冬子、30代、独身、フリーランスの校閲
本書は今から12年前に出版された
あちこちに散りばめられた、言葉がとても深くて
意味深で、どの文もキラキラしている
人は彼女の事を
選べない、決められない、何を考えているかわからないと言う…そんなことないのに…
そんな彼女の話を三束さんは黙って聞いてくれる
仕事関係で付き合いのある女友達は
自分以外の誰かにべつに何も求めない代わりに、自分にも誰からも求めさせない。
そうやって生きていければ、それは楽なんじゃないの?
それは楽なの?
と、冬子は問う
友達から見れば冬子の生き方にイライラくるらしい
何も求めなくただ好きになった人に、やっと
「好き」だと言えた冬子
告白シーンは冬子だけでなく私も目が潤んでくる
この恋のいく先は…