黒鳥の湖
宇佐美まこと
不動産会社を経営する財前彰太は妻由布子、一人娘の美華と幸福に満ち足りた生活を送っていた。
だが、その暮らしに不穏が兆す。
世間を騒がす女性拉致事件の手口に覚えがあるのだ。
被害者の衣類や髪、爪などを家族に送り付けて楽しむ殺人者。
それは18年前、探偵事務所に勤めていた彰太が、娘の復讐をしたいという老人から捜索依頼を受けた拉致監禁犯のやり口と瓜二つだった。
当時、妊娠中の由布子と結婚するため、金が必要だった彰太は、伯父の会社の乗っ取りを画策。
依頼人に伯父が犯人だと嘘の報告をしたのだー。
いろいろ人が入り組んで、罪を犯して。
複雑な人間関係が、最後にはスルスルと解ける。
伏線がいっぱいで、ああ、こういう繋がりだったと。
ミステリーは種明かしが出来ないのでこの辺で。
最近はテレビも新聞もネットも見るのが辛い。
私達は平和な日本でいつもと変わらぬ生活が出来ている。
いつもと同じ食事が出来、安眠、読書も出来る。
物の値段も値上がりだして、暮らし辛いけれど
今の私達の住む場所には平和がある。
自分の要求、願望を最後まで貫き通す魔王、悪魔だ。
小出しにしていた本性が、一気に形となって現れた。
本当に悪魔がいるんだと思った。