羊は安らかに草を食み
宇佐美まこと
図書館のお薦めコーナーで見て借りました
それはそれは、凄く素晴らしく大感動の本でした。
でも読んでいく苦しさもありました。
それは…
アイ、富士子、益恵、俳句の会で知り合って20年
年老いても3人はいい友達関係が続いている。
86歳の年長の益恵が認知症を患い、日ごと記憶が失われていく
益恵の夫は記憶が薄れていく彼女に何かの心のつかえがあると言う
益恵は戦争孤児となって満州から引き揚げ船で帰って来た
そして結婚、生まれた幼子を亡くし、そして夫の死
その都度住む所も、九州、松山、大津と移り変わる
今の優しい夫とは再婚同士
3人は現代から過去へと、益恵の住んでいた所を訪ねていく
益恵が言う「かよちゃん」は何処にいるのか。
満蒙開拓団として満州に渡り、敗戦になり、益恵は家族を亡くして孤児となる
満蒙開拓団は日本政府が中国のその広大な土地を農作業の為に日本人に買い上げたもの
それは強制買収、奪収に近いものだったそう
多くの日本人がその甘い誘惑に惑わされ満州に渡った
そして敗戦となった日本軍、関東軍は真っ先に満州から逃げた、日本人の開墾団を残して…
もうそこは略奪、窃盗、強姦、殺人で酷い
引き揚げ船に無事に乗れるのは奇跡としか言えない
益恵はその中を11歳孤児となって日本に帰って来た
壮絶な悲惨な場面が所々にある
今の私達に出来る事は事実を知ること
戦争の悲惨な事実を
3人の老女は益恵の過去を旅する
お互いいろんな悩みを抱えて…
3人の友情が羨ましい。
お互いの信頼関係、高齢になってもお互いを思いやう
ある意味戦友だと思う