「銀花の蔵」
遠田潤子
絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出ると言う言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。
家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、昭和から平成へ、少女は自分の道を歩き出す。
帯よりのあらすじ
座敷童が出ると読んで、怪奇モノ…?
少し引いてしまいましたが、全く怪奇モノではなく
昭和から平成、少女から60代へと醤油蔵を守り
闇を持つ家族と対峙しながら、ブレる事なく芯が強く正直に生きる銀花。
昭和戦後のドロドロ感が少しあり
老舗醤油蔵の受け継がれてきた闇があり
家族一人一人の心の闇があり
新たにわかった真実があり
出来事満載、期待いっぱいで読み進みました。
銀花の父親は老舗醤油蔵に家族を連れ帰ったけれど
元々家業が嫌で、好きな絵描きを続けたいと常に思ってる。周りからお坊ちゃんとして育てられた根っからのお坊ちゃん。
銀花の母親は料理上手だけど、窃盗癖がある。
悲しい悲しい…
銀花にかかる影響は計り知れない…
この小説の人物は一人一人癖が強く
隠れた内面がある
家業を守ってきた厳格な祖母
銀花の対応も見事である
祖母を名前で呼ぶ事って新鮮だ!
話は変わるが、以前介護ホームで入所者を名前で呼んでいるのを聞いた時
「なんかいいなぁ」と感じた
呼ばれたおばあさんは、とっても可愛いくイキイキ若返った感じがした
先ずは本人になんて呼ばれたいかを確認して決められたら一番いいけど
私も年老いたら名前で呼ばれたいわ
少し外れましたが
老舗家業を守る苦難、犠牲になった家族
それが当たり前として来た時代
辛い時代だと思っていたけれど
今のコロナ禍…
現代便利な世の中だけど行動制限があり
人との会話、集まり、食事禁止
今の方が生きづらい
あゝ…
昭和の時代に戻りたい
空の上のおばあちゃん、父に会いたい…
お盆に思った事でした。