畑の端っこで、甘いかおりを放っている
純白のショウガの花の写真を撮っていたら、
畑仕事の手を休めて
おじいちゃんが近づいてきた。
別に私に話しかけるでもなく
でもカメラで何を写しているのか
気になるようなので、
「いい香りですね〜!」
と、言ってみた。
2回目はかなり大きな声で。
「ああ、これ、ウコンだよ。」
え〜〜、これショウガじゃないんだ、
ウコンなんだ…
以前お花屋さんで買ったジンジャーに似てたから、
ずーっとショウガの花だと信じてた、甘いかおりの真っ白な花。
ショウガもウコンも仲間だから、
花も似ているのだろうけれど、
ウコンのあの黄土色のイメージと、
この真っ白で甘いかおりを放っている花が私の中で結びつかない。
立ち止まって、
おじいちゃんと、
ちょっとおしゃべりしただけなのに
蚊にいっぱい刺されたので、
お礼を言い、駅へと歩き出す。
ほんのちょっと、
話をしただけなんだけど、
気持ちがほっこりして、
そして、父を思い出す。
最近、年配の男性を見ると
なぜだか父親のことが心をよぎるのは、
お盆にお墓参りにも行かなかった
不義理な娘への父からのメッセージなのか、
毎日のコンティニュアムのおかげで体が緩み、ハートが繊細になっているからなのか、
それともあっちの世界とこっちの世界の境目が薄くなっているからなのか。
死んでしまった人は、遠いところへ行ってしまったように思うけれど、
案外すぐ近くにいるのかもしれない。
そんな気がする夏の終わりの夕暮れです。