(絵は琴里さん)
『たつこ』の物語の補完、
死後の白龍とたつこの交流。
『たつこ』は、『青き龍と白き龍の伝説』よりスピンアウトした幕間(まくあい)の物語です。
作品紹介はこちら。
【白龍とたつこ】
それから長い年月が過ぎ、白龍はようやく黒龍の気配をキャッチする。
ようやく見つけたあなた
変わり果てたそのお姿
いったい何があったの?
黒龍に会いたいと思っても、
黒龍の魂はその身体に封じられ眠っている。
黒龍の意識とコンタクトしようとしても繋がらない。
存在する次元が違うので、交流もままならない。
白龍は一計を案じて、地上に自分のエナジーの一部を下生させることで直接交流を試みた。
それは成功したかに見えたが、
生まれた少女(たつこ)の身体は弱く、
流行り病であっさり亡くなってしまう。
なんと、人の身のもろいことであろうか。
見ると、死んだたつこのエナジーが黒龍の背に必死に捕まっている。
しかし、悲しみに囚われ、天空を飛翔する黒龍は少女のエナジーに気づかず、少女は黒龍から振り落とされてしまった。
このままでは、あの子も地上の世界をさ迷うことになってしまう。
おいで…
おいで…
白龍は少女のエナジーに呼びかけた。
自分が呼ばれていることに気づいた少女は
だれ?
と声の方に意識を向けた。
今よ!
白龍の身体から放出されたエナジーが次元を超えて少女をやさしく包み込む。
あ、あたたかくて、なつかしいこの感じ。
少女は自分を包み込むエナジーに身を任せた。
ヒュルン!
少女は地上の世界から白龍の棲む世界へと引き上げられた。
白龍のエナジーに統合される少女のエナジー。
もとはひとつの同じエナジー。
お帰り。
よくがんばったね。
えらかったよ。
労をねぎらう白龍に
少女は、コクコクとうなずくだけ。
お眠りなさい、
わたしの中で。
白龍がうたうと
少女は眠った。
いまはおやすみ。
よい夢を。
そして、時が来たら
また、目覚めるのですよ。
白龍は黒龍の様子を千里眼で見ながら、
時が来るのを待つのだった。
了