(画像は、アニメ『響け!ユーフォニアム』公式アカウント@Xからお借りしました)
クリスマスに生まれるなんて、
あすか先輩は、やっぱり特別。
そんな先輩がひとりごつショートストーリーを書きました。
・・・・・
だからね、おーまえちゃんは、優柔不断なとこも含めて、おーまえちゃんなのよ。
高坂さんは、一本気だし、トクベツだから、おーまえちゃんといつかソリが合わなくなることもあるんだろうなあって、思ってた。
あ、一応言っとくけど、シャレじゃないからね。
(ソリとソリ…)
それが早いか遅いかはわからなかったけど、
多分、金賞をかけたコンクールの直前だろうとは予想してた。
だから、そのときは助けてもいいかなあって。
おーまえちゃんが二年のときの関西大会に応援に行ったのは、そういう意味もある。
自分の住んでるところは自分で知らせないとね、名刺交換みたいなものだし。
で、話を戻すとね、
高坂さんには高坂さんだけが持つよさがあるし、
おーまえちゃんには、おーまえちゃんだけが持つよさがあるのよ。
どちらか一方だけだとダメで、どちらも必要。
それはお互いに無意識でわかってたんじゃない?
ふたりが仲いいの、不思議がる子たちもいたけど、わかってないなあって。
水と油と思うと、交わらないけど、でも、そうじゃない。
水と油を混ぜるための媒体があれば、混ざるんだから。
それがなんなのかなあって、観察してたけど。
一応、パートリーダーだったしね、メンバーの成長を後押ししたいなって思ってたし。
おーまえちゃんは、私がいなくなった北宇治を引っ張ってく可能性はあると思ってたし、少なくともユーフォパートはおーまえちゃんしかいなかったわけだし。
あ、夏紀?夏紀は人間力は買ってたけど、演奏はねえ…。
で、わたしは高坂さんにあって、おーまえちゃんにないもの、それは、吹奏楽への熱量だと思ってた。
わたしと比較してもね、どこか冷めてたでしょ、ユーフォを吹くことに。
もちろん、高坂さんは最初からプロを目指してるんだなあってわかったし、そこはわかりやすかったから。
でも、おーまえちゃんはそこそこうまいけど、追い詰められないと本気で頑張らなかったでしょ。
追い詰められたときの頑張りがおーまえちゃんの持ち味でもあるから、それでいいんだけどね。
部員みんなが高坂さんなら、間違いなく全国で金賞。
でも、そんなスーパーマンだらけの吹部なんてないでしょ。みんな、学生なんだし。
だから、いくら常連校が強いって言っても、つけ込むチャンスはそこそこあるってこと。
おーまえちゃんが頑張ってみせることが他の部員にも刺激になる。
だから、ライバルがいた方がよかったんだと思うな、わたしは。
え、ソリのオーディションに負けて悔しい?
香織の気持ちがわかったでしょ。
勝負の世界は厳しいのよ。
わたしはおーまえちゃんのライバルの子の演奏は知らないけど、おーまえちゃんの実力は全国レベルだと思ってるよ。
なんなら、これから河原で吹いてみてよ。
(二人で近くの河原に行く)
(久美子、『響け!ユーフォニアム』を吹く)
いいね。ちょっと泣いちゃった。
わたしより、うまくなったんじゃない?
(久美子、泣く)
おしまい