11月22日は、いい夫婦の日、だって。

X(旧Twitter)は、こういうネタには敏感に反応する投稿が多い。

言われなくては気づかなかった。

ということで、アメブロにも投稿してみよう。

自分の夫婦関係はいろいろ差し障りがあり、書けないので、ご先祖様のちょっといい夫婦の話をしよう。

ここでは匿名でTさんとする。

Tさんは、若い頃から真面目で思いやりがあり、人格者として人から愛されていた。

そこにお嫁さんに来たOさん、農家の嫁はなにかと大変で、まして、Tさんは地主の家の跡取りになってしまったから、さらに大変だったろう。

でも、TさんがOさんにもやさしく接するので、頑張った。

当時は男尊女卑のお家制度の時代。
農家の嫁はお家のために黙々と働けばよい、そんな時代。

その時代の女性たちは、みな、働き者だったが、井戸端会議で旦那の悪口を言って、日頃の鬱憤を晴らすことも日常だった。

でも。Oさんは、そんな輪には入ろうとせず、せっせと働き、夜になると、Tさんとお茶を飲みながらその日の出来事を語らうのが好きだった。

Tさんは地主だが、無理な取り立てはしなかったので、農民から愛されていた。
その分、生活は楽ではなかったが、そんなことも気にも留めないのだった。

だが、無理をしていたのだろう。
比較的若くして亡くなってしまった。

誰もがTさんの死を惜しんだが、
先立たれたOさんの悲しみはとても深く、毎日、仏壇の前で祈っては、

『早くわしも連れて行ってくだされ』

と懇願するばかりだった。

そして、ほどなく、病を得て、他界した。
その死に顔は、とても安らかだった。

Oさんが旅立って、四十九日目のある夜。

その日は満月で月明かりがこうこうと辺りを照らしていた。

門をコンコンと叩く音がした。

コンコン。

コンコン。

家の者が気づくまで、その音は続いた。

誰だろう、こんな夜更けに。

そう思い、家人が門を開けると、

ブワッ

と、風が吹いて、二人の老夫婦が立っていた。

月明かりに照らされたその顔は、亡くなったはずのTさんとOさんだった。

家人は慌てて、家の者をみんな呼んだ。

みんな、息をのんで、二人の姿を見た。

すると、全員そろったのを見計らってか、二人は深々とお辞儀をした。

世話になったな。

ありがとう。

顔を上げた二人は、お互いの顔を見つめ合った。

また、ブワッと、風が吹き、

みんなが目を開けたときには、二人の姿は消えていた。



死んだら終わりって、誰が言った?
死んでも魂はあり続けるということを、
この言い伝え(実話を一部脚色)は教えてくれているのではないでしょうか。

ありがとう、Tさん、Oさん。
お二人のお話をお伝えできて、よかった。

よっくる