絵は映画公開に合わせ、山田監督自ら描いたもの。

脱力系なのがウケる。


きみの色 感想


いい映画じゃないか。


トツコは、いわゆる美少女じゃない。

でも、性格がとても可愛い。

ちょっとイルカっぽい。

今の幸せを生きることができる人。


キミは、芯の通った美人さん。

まわりの見る自分と、自覚してる自分とのギャップに苦しんで、高校をリタイアしてしまう。

自分に正直な、等身大の女子。


ルイは、女性性の強い男子。中性的?

身体は大人でも、心は少年のまま。

だから、久しぶりの再会でふたりに抱きついたりするのも、エロくない。

自分の中学生時代も、あんな感じだったかも。


『きみの色』の主人公はトツコ。

トツコの見る世界はきっと平和で善良な世界なんだろな。だから、映画全体もそう描かれてる。

この世は美しいよ。生きるってすてきだよ。

そんな呼びかけを感じる。


ひとりでは輝きを失いつつあったキミがバンドを組むことで自分のやりたいことに目覚めていく。それは本来彼女が持っていた善性であり、音楽の才能。

高校でも、聖歌隊のリーダー格として期待され、その片鱗を見せていた。


ルイは島で唯一の医者の家を継ぐという重い十字架を背負う聖職者に見える。

兄の写る写真は、家庭の事情を垣間見させる。

音楽を親には内緒でやるのは、彼なりの反乱。


三者三様の色が学園祭のバンド初ライブでひとつに溶け合い、それが観客にも伝染してゆく。


いい映画じゃないか。