(絵は、ベッキーさん)


これは、京都アニメーションの人気アニメ

『響け❗️ユーフォニアム3』

を原作にしたファンアート(短編小説)です。


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(じ 井上順菜、ま 堺万紗子)


部活が終わり、下校するパーカッションパートのパートリーダー井上順菜と影のパートリーダーと後輩から呼ばれている堺万紗子(まさこ)。

先ほどまで行われていたパートリーダー会議の話題になった。


じ はー、疲れた。

ま お疲れ様!

じ ほんと、最近パーリー会議、ストレスマックスでパないわー。

ま オーディション近づくと、ギスギスするよね…

じ 練習もコンクールメンバー主体になるし、Bメンバーのモチベーション維持が課題って言ったらさ、麗奈ちゃんにほっとくしかないって言われちゃって…

ま それじゃ、Bメンバーのモチベーション下がっちゃうよね。来年の部を支えるメンバーなのに。

じ 麗奈ちゃん、全国大会しか目に入ってないからさ。ま、わかるんだけどね。うちら、最後のコンクールだし。

ま 最後だからこそ、部の空気もっとよくしないと…。チームワークが悪いと、音に出るしね。

じ それは私も思った。でもなあー、なかなか麗奈ちゃんを説得できないっていうか。全国金賞って、私たち全員の悲願だけど、一番それを望んでるの、麗奈ちゃんだと思う。

久美子ちゃんは、こっちの話も聞いてくれるし、副部長も同じみたいなんだけど、今はドラムメジャーの意見が一番大事だから。

ま 私からも言おうか。部の空気重たいの、なんとかしようって。

じ うーん、万紗子が言っても変わるとは思えないけど。

ま こういうときは味方が多い方がいいでしょ。あたしも三年だし、言うときは言うよ!

じ そうだね。言いたいことを我慢するの、よくないもんね。


そうこうするうちに駅に着いた。


ま それじゃまた明日、部活で!

じ うん、バイバイ。


あと何度、万紗子とこうして一緒に下校できるのだろう。

順菜は、残された時間を思い、ため息をついた。

ただ、万紗子という親友を得たことは、今の自分にとってラッキーだったと思う。


北宇治に入学した時は、万紗子の方が背が高かったっけ。

今は自分の方が万紗子より背が高い。自分も成長したなあと思うが、精神的にはまだまだだ、とも思う。

自分の至らない点を影で支えてくれたのは、万紗子。パーカスパートの要(かなめ)の親友だ。

アンコンのチーム編成では、パーカスメンバーをまとめてくれた。

おかげで自分はチーム高坂で自由にパーカス奏者に専念できたし、同級生であるつばめのフォローもうまくできたと思う。

万紗子がいなかったら、チーム高坂には入っていなかっただろう。

もしそうだったら、つばめだって、マリンバに目覚めていたかどうか。

そう考えると、誰ひとり欠けても、今の北宇治にはならなかったんだと改めて思う。

日常という奇跡の連鎖を私たちは見過ごしがちだけど、実はすてきな偶然が連鎖して、今につながっている。

そう思うと、今の部の空気の重さも一過性のもので、きっと乗り越えられる。

頼もしい親友の存在に感謝する順菜だった。