第一話




(宇宙人)  その楽器、吹いてみてくれないか?


そう、宇宙人に言われた少女は、言われるままに笛を構え、吹き始めた。


宇宙人は黙って少女の演奏を聴いていた。


短い曲を吹き終わると、宇宙人はニヤリとほくそ笑んだ。


(少女)  なに、その笑い方❗️  感じ悪(わる)っ❗️


そうとっさに思った少女の思考を見透かしたように、


(宇宙人)  うーむ、まことに興味深い調べだね。


と、のたまう宇宙人。


(少女)  どーせ、へたっぴいですよーだ❗️


そう言って、あっかんべーすると、


(宇宙人)  へた? だれが?


と、とぼける宇宙人。


(少女)  わたし以外にいないでしょ❗️


そう言うと、


(宇宙人)  わたしは純粋に音を聴いてるだけだがね。

 うまいとか、へたというのは、君たちの価値判断のようだが、わたしにはわからないな。


と、うそぶくのだった。


(少女)  宇宙人の感性って、地球人と違うんだわ。


少女はそれに気づき、少しホッとした。


つづく