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サクヤヒメが

ふうっ!

と息を吹きかけるや、

まきの火の勢いが増し、炎をあげる。

サクヤヒメが指示すると、産屋の扉が開かれる。

サクヤヒメは、産屋に入ると、中から扉を閉めた。

ニニギくんが扉を開こうとしても、びくともしない。

サクヤヒメ!
出てきてくれ!
お前の気持ちはよくわかったから!
こんなことはしなくてもいいんだ!

ニニギくんは、そう呼びかけるが、サクヤヒメの意思は固く、扉はガンとして開かない。

そうこうするうちに、産屋に火の手があがり、瞬く間に産屋全体に燃え広がった。

一同は、固唾を飲んで、見守るしかなかった。

こんな勢いで燃えていては、中にいるサクヤヒメが無事であるはずもない。

誰もがそう思ったその時、

大きな音を立てて、産屋は崩れていった。

続く

 

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