【ゆく川の】

ゆく川の流れは
たえずして
もとの水にあらず。
(鴨長明、方丈記より)

私たちは、
ゆく川の流れのようなもの。
今日は生きている人も、
明日になれば、
肉体を去り、
いなくなる。
かと思えば、
新しい命、
誕生し、
私たちに加わる。

地上に生きる
人間すべてを
川ととらえれば、
一人一人は、
まさに大河の一滴。
そうして、
入れ替わり、
立ち替わり、
交代しながら、
この地上を生きている。

我もいずれ
川下へと去るだろう。
そんな
はかなき
今生の生命を
いかに生きようとも、
いずれは
太陽の光に招かれて
天へと昇り、
いつの日か、
また、
地上に雨となり、
降るのだろう。
川の流れに
参加するために。

そんなことを
繰り返す
私たちは、
永遠の、
時の旅人。

よっくる