【ピノ】
木の人形のピノは、魔法で魂が宿り、動けるようになった。
『せっかく動けるのだから、いろいろチャレンジしてみよう❗️』
とりあえず、ザブンと池に飛び込み、泳いでみた。
木の身体だけにプカプカと浮かび、沈まない。
『こりゃ、いいや』
と思っていると、近くで溺れている子どもがいてので、助けてあげた。
そのとき、ピノの心の透明な小瓶に金色のコインがチャリーンと鳴って入った。
『あれ、誰がくれたのかな。もしかして、神様?』
そう思うと、頭の中に(そうだよ)という言葉が響いた。
『もしかして、人助けしたりすると、コインが貯まるのかな?』
とピノが聞くと、(試してごらん)という言葉が。
ピノは困っている人はいないかと、濡れた身体のまま、歩いていた。
すると、火事になっている家の前で、お母さんが
『助けて!うちの子がまだ中に❗️』
と叫んでいた。
さすがに木製の自分に火は相性が悪いだろうと、ピノは知らんぷりをして通り過ぎた。
すると、心の瓶の中のコインがスッと消えてなくなるのを感じた。
ピノは、なんだか悲しくなり、
『ねえ、神様、自分を危険な目にあわせても、人助けしなくちゃならないの?』
と聞いた。
すると、ピノの頭に(さて、どうだろう?)と言葉が響いた。
ピノは答えを言わない神様に舌打ちした。
火事の場所に戻ると、誰が大人が水をかぶり、家の中から子どもを救出したところだった。
『なんだ、僕がやらなくても、ちゃんと人助けする人がいるんだ。よかった、じぶんが行かなくて。自分が行けば、きっと燃えてしまってただろう。』
そう思い、また歩いていくのだった。
よっくる