青春シリーズ

「僕の大好きな彼女」より


【プロポーズ】


「ふつつか者ですが、よろしくお願いします。」


彼女は、そう言って、

深々と頭を下げた。


「は、はいっ!」


思わずそう言って、

僕もつられてお辞儀した。


顔を上げて、彼女の顔を見ると、


見慣れたはずの、その美しい顔が、いつにもまして、きれいに輝いていた。


「久美子っ!」


僕はそう彼女の名を呼んで、彼女を抱きしめた。


「新一さん…」


彼女も僕の名を呼んで、僕を抱いてくれた。


こうして、僕らは、翌朝まで、心と体で、お互いの愛を確かめ合った。


昼過ぎに僕らは起き出して、遅い朝食をとった。


今日は田舎に帰り、

二人の両親に婚約の報告をするのだ。


夜の会食にはギリギリ間に合いそうだ。


「許してくれるかな?」


心配になって、僕が聞くと、


彼女は、


「反対されても、意思は変わらないわ。

それに、一緒に食事してくれるってことは、OKってことじゃない?

私ももういい年だし、親としてはひとまず安心なんじゃないかしら。」


「僕たちまだまだ若いと思うけど。」


僕が少し反論すると、


「田舎の女の子は、結婚するのが早いからね〜。同級生で売れ残りは数えるほどよ。」


と、彼女は笑って言った。


「へえー、そうなんだ。全然、知らなかった。」


僕は、驚いたようにそう言うと、


「あ、そうだ。これ。」


と、おもむろに上着のポケットに手を突っ込んで、昨日、渡しそびれてしまった婚約指輪の箱を彼女に渡した。


「ごめん、昨日、渡しそびれてしまったよ。」


と謝った。


僕は、襟を正して、彼女にこう言った。


「昨日も言ったけど、もう一度言うね。


僕のお嫁さんになって下さい。」


彼女は笑顔で、


「はいっ!」


と力強く答えてくれた。


続く


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