無事、出版されましたー!!!
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スピリチュアルな七夕物語 - スピリチュアルファンタジー (MyISBN - デザインエッグ社)
850円 Amazon |
(表紙イラスト 矢田部涼子)
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スピリチュアル・ファンタジー
スピリチュアルな七夕物語
谷 よっくる
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七夕といえば、織姫と彦星の切ない愛の物語ですね。
この物語をスピリチュアルな視点で見てみましょう。
織姫と彦星は、ひとつの魂として、神様に作られました。
二人はひとつの魂として、一緒にいましたが、
二人一緒だと、なにも他にはいらないというくらい、幸せでした。
他になにも必要としないくらい、満ち足りていて、完全でした。
けれど、進歩も成長もありませんでした。
神様はある日、二人でひとつの魂に言いました。
「お前たち、男と女に分かれて、宇宙を旅してきなさい。」
二人でひとつの魂は、言いました。
「なぜですか、神様。
私たちはひとつで完全です。
なぜ、二人に分かれないといけないのですか?」
神様は言いました。
「お前たちが望まぬなら、そのままでいなさい。」
それから、長い時がすぎました。
二人でひとつの魂は、幸せであり続けましたが、あるとき、ふと気づいたのです。
私たちはこのままずっといても、幸せだけど、ほかの幸せもあるんじゃないのかな。
もし、そうなら、ほかの幸せも経験しなくちゃもったいない。
せっかく神様につくっていただいたのだから、いろんな経験をして、
また、ひとつに帰ろうと。
二人でひとつの魂は、神様に言いました。
「神様、もしよろしければ、私たちを男と女に分けてくださいま せんか?」
「私たちは今とはちがう幸せを体験してみたくなりました。」
神様は、すぐに、二人の願いをかなえました。
二人でひとつだった魂は、二つに分かれました。
神様は、二人にこう言いました。
「あなたたちはこれから別々の旅に出かけなさい。
二人で同じ旅をするよりも、二倍の経験ができるから。
そして、一人旅を十分経験しつくしたら、ひとつに戻るといい。」
二人は言いました。
「わかりました、神様。
私たちは別々の旅に出かけます。
今までずっと二人だったので、一人旅は初めての経験です。
不安もあるけれど、とても楽しみです。」
「でも、別れたあと、再会するときは、どのように出会えば
よろしいのですか?」
神様は言いました。
「宇宙に流れる天の川という銀河がある。
あなたたちは、そこで落ち合いなさい。
天の川は、あなたがたが再会する約束を思い出す目印となる
だろう。」
二人が天球をながめると、とても美しい大河が流れているのが見えました。
「まあ、なんて美しいんでしょう」
「あれなら、見失うことはないから、目印にピッタリだ。」
「とても長い川だから、川のどこで落ち合うか決めておこう。」
二人は川の両岸に輝く大きな星を見つけました。
そして、それを自分の星と定めました。
「では、いつかひとつに戻りたくなったら、あのふたつの星の中間地点 で落ち合うことにしましょうね。」
「うん、そうしよう。
どちらかが先にその場所に行ってしまったら、相手を待っていること にしよう。
そうすれば、いつか会えるから。」
「二人が会った時が、この別々の旅の終わりね。
それまでは、この神様に祝福された一人旅を楽しみましょう!」
二人はそう言うと、しっかりと抱きしめあって、それぞれ反対の方角に歩き始めました。
二人が再び出会うには、気の遠くなるような長い年月を過ごさねばならないと、
二人とも、その時は知りませんでした。
神様は、そんな二人の旅をいつもあたたかく見守るのでした。
・・・・・・
これがスピリチュアルな視点で見た、織姫と彦星のお話です。
なぜ、毎年、七夕の日に出会わないのかって?
だって、ほら、天の川をはさんで、いつも二人の星は離れて輝いてるでしょう?
いつまでも離れ離れじゃ切ないと、早く二人を会わせたいと思った、
せっかちな地上の人が、一年に一回、会えるようにと、物語を書いたのです。
私たち、一人ひとりが織姫であり、彦星です。
幾億年もの時の流れを渡り歩き、さまざまな生と死を経験してきた私たちの魂が、
最後に出会うパートナー、魂の片割れ、もう一人の私。
それが本当の織姫と彦星の物語です。
おしまい
(物語 谷よっくる、 挿絵 益田あゆみ)