アースダイバーみと

第五話


そうそう、肝心の私の自己紹介がまだだったじゃないの!

わたしの名前は、おりさきみと。

都内の高校に通う女子高生。

恋に恋するお年頃。

中学時代はバスケ部に青春を捧げ、

浮いた話ひとつなく、

受験勉強して公立中学から私学の女子高に滑り込み、

さあ、いよいよ青春第二章!

と思ったのも束の間、

あの大地震でしょ?

もう、それどころじゃなくなっちゃって。

パパは会社で被災して大怪我して入院するし、ママはつきっきりでパパの看病だし。

病院に任せとけば、って言ったら、

「なに言ってるの。こういう時こそ、家族の絆が大事なの!」

と怒られた。

パパとママは大恋愛で結ばれて、親の反対押し切って、私を産んでくれたくらいだから、マジチョーラブラブなんだ。

それはさんざノロケ話聞かされて育った身だからわかるけど。

でもね。

大事な一人娘をほったらかしって、それはないんじゃないの?

しかも、年頃の娘を。

好きな人ができて、うちに連れ込むかもしれないよ、それでもいいの?

って脅したら、

「そんなこと、みくちゃんがするはずないわよねー。

でも、そんなことしたら、マジでコロスから!」

ってすごまれた。

ママと私はこんな会話が日常だから、親子というより友だちみたいなんだ。

パパとママが駆け落ちしたのも、私のせいだしね。

できちゃった婚。

私が二人の縁結びの神様ってとこかな。

二人とも大学生だったから、親はもうカンカンで、堕ろせって言われたらしい。

でも、「絶対イヤだ、産む」と。

で、パパも同意してくれて、駆け落ちして、二人で私を産んで、育ててくれた。

最初の数年は親とも音信不通だったらしいけど、私の写メを送ったら、「会いたいから、帰っておいで」って言われて、二人で数年ぶりに里帰りしたら、大歓迎されたんだって。

二人とも、両親にほんとはとっても愛されてたんだって、その時わかって、大号泣。

そのかたわらで私は笑みをたやさず、ニコニコしてたんだって。

私のせいで勘当されて、私のおかげで親と仲直りしたんだから、私ってすごい!


第五話  終わり


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