アースダイバーみと
第一話
私はアースダイバー。
アースダイバーって、なに?
みんな、そう思うでしょ。
私も最初はそう思ったもの。
話せば長くなるんだけど、ある意味、今の地球に必要な役割という感じかな。
それじゃ全然わからないって?
ごめんね、言葉使いが下手すぎで。
ダイバーっていうくらいだから、もぐるんだけど、地球の意識の海をもぐるんだ。
地球の意識の海ってなに?
これまた、説明するのは難しすぎなんだけど、こうして目をつぶって、自分の意識を地球の意識と同調させると、なんだか深い海の底にもぐるような感覚になるの。
地球に意識があるのかって?
そうなのよ、驚くことに、あるのよね。
私も最初は半信半疑だった、というか、まるで意味わかんなかったんだけど、心の琴線になにかがふれたっていうか。
まったく無視するわけにもいかないなって、感じちゃったんだよね。
それで、仲間の人たちと一緒にくるま座になって、瞑想して、地球意識にもぐるぞーって、思ってたら、寝ちゃってた。
で、夢を見たんだ。
なにかがぐるぐる流れてて、その流れに流される私がいて。
あー、流される!
って、思ったとたん、目が覚めた。
目を開けると、みんな、まだ目をつぶってて、瞑想中。
なんか、私一人のけものになったみたいで、さびしくなったんだけど、双子の妹のみくが片目を開いて、私にウインクして、また目を閉じた。
みくとの出会いの話は長くなるので、また今度ね。
で、私ももう一度トライしようと目を閉じた。
すると、自分が小さな妖精になってるのを感じて、見ると近くにみくも同じ妖精の姿でいて。
二人で羽ばたきながら、地球の夜の空を飛び回ったの。
なんか、とてもいい気分で。
いつまでも飛び回っていたいなあと思ってたら、
みくが手招きして、暗い空洞を指差して、そこに行くように促すの。
私は、いやだ、こわい!
って、思ったんだけど、みくが平気な顔して、降りてくもんだから、仕方なくついてったの。
一人残されるのはいやだったし。
そしたら、暗い暗い穴の中をどんどん降りて行くんだけど、みくの体が輝いてて、そのあかりを頼りについていったんだ。
そしたら、声がして、
「ここは地球のへそのみち」だって。
地球のへそってなんだろ、って思ったけど、私も知らないこといっぱいあるしね、へーそういうのがあるんだって、妙に感心したりして。
そして、自分も、
「ここは、地球のへそのみち。
ここは、地球のへそのみち。」
って心の中で呪文のように繰り返しながら、みくに続いてどんどん降りてったの。
そしたら、底が見えてね。
私たちは小さなまるいあかりで照らされたその場所に降りたんだ。
そこは砂場で、ほんとにきれいな白い砂でね。
手ですくってみたら、なんだかあたたかかった。
「あー、あったかい。気持ちいいー」
って言いながら、砂を両手ですくってると、みくがにっこり笑って、むこうの方を指し示した。
見ると、暗がりの中に大きな木が立っていて。
「これが地球樹だよ」
ってみくが言うのを聞いて、目が覚めた。
私が目を開けると、みんなもう起きていて、その中でリーダー格のハンサムな人が
「おはよう、初めてのアースダイブはどうだった?」
と私に聞いてきた。
私が見たままを素直に言うと、
「へえ、初めてなのに、地球樹のところまで行けたんだ。なかなか筋がいいね」
ってほめてくれた。
私は、いえいえ私の力じゃなくて、みくのおかげなんですと言ったら、遠くからみくがこちらを見て、にっこり笑った。
ほんとにみくってミステリアス!
自分と姉妹だなんて思えないわ。
でも、みくによると、私たちは生き別れた双子の姉妹で、みくは私の妹だって。
でも、双子って言っても、少しも似てないの。私はどちらかと言えば、おてんばで落ち着きがないタイプだけど、みくは正反対。
大人しく、控えめで、いつも微笑みをたやさない。
なんか、理想の女性って感じ。
みくはアースダイバーの先輩なんだ。
リーダーはみくに手をふると、私に向かって、
「みくと君は双子なんだってね。双子はシンクロ率が高いから、瞑想していても波長が同通しやすいんだろうね。君にはうってつけのガイド役ってわけだ」
と言って、キザに片目でウインクしてきた。
キザなハンサム。リーダーを私はそうインプットした。
第一話終わり