サラ


(絵は植松宏子さんです)


【サラとターニャ】


私はサラ。
私は、今はスピリットとして、天国の53番街に住んでいる。
私は、地上に出ている私の相棒と時々連絡をとりながら、地上に愛を増やす仕事をしている。
(それ、私のことですか~ by よっくる)

ここ、天国では、そういう仕事をしている天使はいっぱいいる。
私も、その中の一人ってわけ。

でも、べったり地上の相棒に、はりついてるわけにもいかないの。
相棒にシグナルを送れる時間は、ほんの数時間(地上の一日あたり)。
彼のアンテナが立つ頃合いを見計らって、通信を送る。
タイミングが合えば、受信してくれるが、雑念が多かったら、うまくいかない。
根気のいる仕事だ。

だから、それ以外の時間は、別の仕事をしている。
物語を書くのも、そのひとつ。
私の相棒も、地上で物語を書いてるけど、あれは私の影響も大きいの。
(え、そうだったんですか?初めて知りましたけど… by よっくる)

私が天国で書いているサラの物語は、スペースオペラで、とても長いものだけど、結構、愛読者も多いのよ。
私の過去世での体験をもとにしてるから、リアルだしね。
いずれ、地上の相棒にも、書いてもらおうと思ってるけど、今はまだ、無理っぽいかな~。
長編書くの、苦手そうだし。
(はい(笑) by よっくる)

地上の相棒は、私のことをおてんばだと思ってるみたいだけど、それは私の一面にすぎないの。
文学少女な面も持っているのよ。
どう?見直したでしょ、ふふんふふん( ̄^ ̄)ゞ

それでは、前置きはこのくらいにして、サラ・プレゼンツ、谷よっくる代筆、「サラとターニャの物語」を始めるわよ。
これは、私のいくつもある前世の中で、幸せだった人生での物語…。



「サラとターニャ ある素敵な女性の物語」



その人生でも、私は、南の島にいたわ。
私って、南の島が大好き!
寒いところは、苦手なの。
その時、私には仲良しの友達がいてね、
名前をターニャといったわ。
ターニャは、母性の塊のような女の子でね、小さい頃からとにかく面倒見がよかったの。
島中の子供たちのお世話係をしてたわね。
私が海や山を駆け巡って遊んでる時も、どこかの家の赤ちゃんをだっこしたり、あやしたりしてた。

「ターニャは、赤ちゃんが好きね~」
と私があきれて言うと、
「うん、大好き!早く自分の赤ちゃんがほしいなあ~」
なんて、ませたことを言ってた。

私はなにか悩みごとができると、真っ先にターニャに相談しに行ってた。
ターニャは、私の長話を、嫌な顔一つせずに、いつもニコニコしながら、聞いてくれた。
私が全部話し終わって、楽になると、
「どう、少しは、気は晴れた?」
と、いつも聞いてくれた。
ターニャは、とても聞き上手だったわ。
私も言いたいことを言うと、気持ちが晴れて、悩みがどこか遠くの方へ飛んで行くのを不思議に思ってた。
あれは、多分、ターニャの魔法。

その人生にも、争いごとはあってね、島の男たちが島の平和を守るために、戦に出かけることも、よくあった。
いつの時代にも悪いやつがいてね、平和で実りの多い島に目をつけて、自分の島にしようと襲ってくることも珍しくなかった。
私は、島の男たちと一緒に、戦いに出ることもあったけど、留守番役で島に残ることもあった。
そんな時は、島中の女の子たちが集まって、戦勝祈願をしたものよ。
私も、私の父さんや兄弟が戦場から無事帰ってくれるように、それは真剣に祈ったわ。

祈ることしかてきない自分がくやしくてね、泣きながら、お祈りしてると、ターニャが私のそばにやってきて、私のこと、ぎゅうって抱きしめてくれるの。

私がターニャに、
「ねえ、一緒に祈ってくれる?」
って、聞いたら、
「うん、祈るよ。サラ、一緒に祈ろう!」
そう言ってくれ、一緒に祈ってくれた。
ターニャは祈りが上手で、彼女の祈りは、いつも天に届いていた。
だから、一緒に祈ってくれると、とても心強かった。
人は、自分に寄り添ってくれる人が一人いるだけで、強くなれる。
私は、ターニャに、そのことを教えてもらった。

やがて、ターニャは、素敵な男性と結婚し、たくさんの子供を生んだ。
そして、子供たちに囲まれて、毎日を幸せそうに過ごしていた。
ターニャは、お母さんになるために生まれてきた人だなあ。私は、そう思った。

いつも私の心に寄り添ってくれたターニャ。
彼女は、今もどこかで、彼女の大切な子供たちの心に寄り添って生きているにちがいない。
スピリットになった今でも、ターニャは、たくさんの子供たちの、母であり続けるだろう。

・・・

ここまで書き進めたら、突如、隣にポンッと音がして、ターニャが現れた。
そう、なんの前触れもなく。
私はびっくりして、目をパチクリした。
ターニャは、昔と少しも変わらぬ笑顔で、私のことをぎゅうっ~と強く抱きしめてくれた。
すると、私のハートが暖かくなって、私もターニャをぎゅうっと抱きしめた。
スピリット同士の抱擁は、とてもパワフルな愛のエナジー交流だ。
二人のハートから流れ出す愛のエナジーがシンフォニーをかなで、あたり一面に花が咲き乱れ、天使や小鳥たちがどこからともなく集まって、ともに歌ったり、踊ったりし始める。
私たち二人の頭に、誰かが作ってくれた花の帽子がかぶせられる。
そうよ、ここは天国だもの。
愛のエナジーの放出は、地上の比ではない。
二人の間に、虹の柱が立ち、大空に大きなアーチを描いた。

ターニャは、私を放すと、
「ごめんね。あんまり久しぶりだったから、思わず抱きしめちゃった!」
と言った。
「ターニャ、久しぶり!」
私はターニャに再び抱きついて、ほっぺに祝福のキスをした。
くすぐったそうに笑うターニャ。
ターニャも、私のほっぺに祝福のキスをしてくれた。

私たちは、二人並んで座り、昔のようにいろんな話をした。
「ターニャは、今、何をしてるの?」
私が聞くと、
「私はね、うーんと、お母さん!」
と言って、カラカラと笑った。
あまりにも予想通りの答えに、
「お母さんって、誰の?」
と、思わず聞いてしまう私。

「もちろん、みんなのよ~」
謎の言葉を残して、ターニャは、消えてしまった。
登場と同じくらい突然消えたターニャに、私があっけにとられていると、再びターニャが現れた。
手に大きなアルバムを抱えている。
ターニャは、アルバムを開くと、一枚、一枚、写真を解説し始めた。
どの写真にも、飛び切りの笑顔で笑う子供が写っている。

「この子は、砂漠の国で出会った子で、この子は、北の寒い国で一緒だった子で…」

どうも、ターニャが地上で生きた、いくつかの人生で知り合った子供たちの写真らしかった。
ターニャは、その一人ひとりとの間にあった数々の思い出をとても大切にしているらしかった。

ターニャがアルバムの真ん中のページを開くと、そこには見開きいっぱいに大きな写真が飾られていた。
そこに笑顔で写っているのは、あの南の島でターニャとともに過ごした頃の私の写真だった。

「あれ?これ、私の写真?」
私が聞くと、ターニャは、
「そうよ、サラ。これは私の一番大好きな友達の写真よ!」
と言って、私をぎゅうっと抱きしめた。
私もうれしくなって、ターニャをぎゅうっと抱きしめ返すのだった。

そして、私とターニャは、あの頃のように、二人で手をつないで、浜辺に座り、美しい夕日を眺めるのだった。
二人で寄り添うこの平和な時が、私たちは何よりも大好きだった。

「あの頃の私は、やんちゃばかりして、ターニャに迷惑ばかりかけてた気がするわ。
あの時はごめんね。」

謝る私に、ターニャは、
「そんなこと、もう忘れたよ!
何があったかなんて、過ぎ去ったことは、そんなに重要じゃないの。
ただ、あの時の経験は、今も自分の中に記憶として、残っていて、今の自分を作っている。
喜びも、悲しみも、今の自分にたどり着くための必要なステージだったのよね!
あなたなら、わかっているはずでしょ?」
そう言って笑うターニャに、私は、こくりとうなずいた。

「その通りよ、ターニャ。
すべての過去は今、ここにいる自分につながっている。
そして、今、ここにいる自分から、さまざまな未来の可能性が生まれるんだわ。
私たちは、望みさえすれば、すべての選択肢を経験することだってできる。
だって、神様が私たちをそう作ってくれたんだものね。
私たちは、永遠の生命を与えられた神様の子供として、今、ここにいる。
この宇宙で生かされている。
今は、地球という星にいるけれど、地球に来る前は別の星にいて、今とは違う世界を楽しんでた。
そして、時期がくれば、また、新たな星へと旅するんだわ。
私たちは自由!
私たちは、自分の未来を自分で選択する!
出会いも、別れさえも。
さびしくなんかないわ。
だって、永遠の別れというものはなく、私たちは、いつかまた、必ず出会うことができるから。
今、こうして、私がターニャと会っているようにね。」

そう言う私に、ターニャも、
「そう、それに、私たちは離れていても、心の奥底でつながってる。
私たちのハートには、聖なる空間があり、そこには愛のエナジーが満ち溢れている。
そして、そのエナジーが私たちすべてをつないでいるんだわ。
一人ひとり、個性が違うのに、みんなつながってる。
これは、宇宙の秘密だけど、やがて、この星の人々もみな、目覚めるでしょう。
私たちはひとつだということに。」
そう言うターニャは、キラキラと神々しく輝いて、まるで女神様のようだった。

「そうだよね。
もうすでに、アクエリアスの時代の扉が開き、男性性主導の時代から、女性性主導の時代へと、変化が始まっている。
地上にいる女神たちが活発に動き出すでしょう。
傷ついた時代を愛で癒すために。」

そう、今、まさに、時代は変わろうとしている。
その流れは、誰にも止められないだろう。
今までの価値観にしがみつく人々が、今しばらく世界の中心にい続けようと、最後のあがきをするだろう。
しかし、やがては、時の流れに逆らえず、舞台から去って行くのだ。
そして、新たな時代を作る若者たちが、これからどんどん現れ、立ち上がるだろう。
世の中を革新に導くために。

「そう、そして、その時が来たら、私も地上に降りて、働くわよ。
この地球を愛の星にするために、私はここにいるのだから。」

ターニャは、それでいいとうなずきながら、姿を消した。
彼女がメッセージを持って、私の前に現れたのは、明らかだった。
私は、地上にいる私の相棒に通信を送ることにした。
地上で活動できるのは、地上にいる人間だけなのだから、しっかり働いてもらわなくっちゃ!

私は、相棒に「サラとターニャの物語」と題した通信を送り始めた・・・。

おしまい。