【色と空(しきとくう)】

目に見えるものを
色(しき)と言い、

目に見えぬものを
空(くう)と言う。

色と空は、
表裏一体、
表と裏の関係にある。

人は、
目に見えるものを中心に
物事を判断しているが、
目に見えるものの裏には、
目に見えないものがある。

目に見えぬ世界が先にあり、
目に見える世界がそれに続く。

この世は、目に見える世界。
物質という色を持つもので作られている。

あの世は、目に見えない世界。
あの世は、物質ではない。

はじめに言葉ありき、
と言うが、
それは、
宇宙の始まりは、
目に見えない世界から
始まっていることを指す。

色の目で見れば、
無であり、空。

しかし、
その中に、
すべてがあった。

すべてがひとつ、
ワンネスとしてあった。

その中に、
私たちの魂の根源がある。

そして、
光あれ、
の言葉とともに、
光が生まれた。

光は色を作り出すもの。

光なくして、
この世は成り立たない。

色の世界の始まりは光のみ。
光一元の世界。

そして、
ビッグバンという、
物質宇宙創造の一大イベントがあり、
色の世界に形が与えられた。

宇宙創造も、
空より始まり、
色があとに続く。

これは、宇宙の摂理なり。

ひるがえって、
人間というものの成り立ちを
見てみよう。

人間も色と空よりできている。

肉体は言うまでもなく、色。

心や魂は、空。

目に見える肉体の裏には、
目に見えない心や魂の世界がある。

それを軽んじてはならぬ。

目に見えないからといって、
心や魂を軽んじてはならぬ。

人間も、空である心や魂が先にある。

肉体は、この世に生まれた時に与えられたもの。
魂は、生まれる前からあるもの。

母親が体内に宿し、
創造した肉体に、
魂が乗り込み、
この世の旅を始める。
それが神理であり、
真実なのだよ。

心は、
魂の一部が
肉体を操縦しているもの。
ゆえに、
心は小我であり、
魂は大我である。

心は肉体に寄り添い、
さまざまなこの世での経験を刻む。

だが、
肉体を失えば、
心は魂へと帰るのだ。

時々、帰る道を見失い、
この世をさまようものもいるが、
肉体が死を迎えた時、
あの世の、魂の世界に帰るとわかっていれば、
そのようなこともなくなるのだ。

肉体がすべて。
物質世界がすべて。
目に見える世界がすべて。
色のみがすべて。
それが、
今の世の常識として、
まかり通っている。

この価値観のままでは、
世界は変わらない。

常識を覆す。
変革する。
霊的価値観に目覚める。
今はその変革の、
臨界点にいるのだ。

そこをクリアしなければ、
もう今の文明は持たない。
そういう時代の境目に来ている。

変革を受け入れるためには、
色即是空の
本当の意味を知る必要がある。

色と空は、
表と裏の関係にある。

色の世界であるこの世は、
魂がいっとき、
存在を許される場所。

魂の座は、あの世にあり。
空の世界であるあの世は、
魂が永遠の生を営む場所。

地球においては、
この世とあの世は
色の世界、空の世界として、
ともに存在する。
そのことをしっかりと認識することだ。

そして、
空の世界が実在界であり、
色の世界がかりそめの世界であると
知りなさい。

色の世界であるこの世は、
人類の集合意識により、
何度も塗り替えられてきた。

文明にも色がある。
街の外観ひとつとっても、
時代により変遷してきているであろう。
今日あるものが明日は風化しているかもしれない。
そのような不安定さの上に、
この世は成り立つのだ。

今の地球人類の集合意識の中で、
光と闇が綱引きをしている。
この世を何色に染めるかを決めるのは、
この世に住む人々ではあるが、
少数の支配者、権力者が
絵の具の筆を握っている。
大多数の人々は、権力者が描いたキャンパスの上で生を営んでいる。

だが、この大きな絵も、
時代とともに描き替えられるだろう。

大事なのは、
あなたが、
あなたのまわりの世界を
何色に染めるかだ。

大きな絵を描き替えることはできなくとも、
その中で小さな絵を描く筆は、
一人ひとりに与えられている。

あなたを中心とする世界を塗る筆だ。

例えは、
大きな絵が真っ暗な闇の絵だとしても、
その中で、一点の明かりを
あなたはともすことができる。

そして、その明かりの絵が少しずつ増えていってごらん。

やがては、
大きな絵が光で満たされるのだ。

一人ひとりの覚醒が
これからの時代に
新たな色を与えるだろう。

あなたのまわりの世界は、
どんな色をしている?
灰色にくすんでいる?
悲しみの色に染まっている?
どうしようもない現実に打ちのめされている?

いや、どれも違う。

それらは外部から与えられた色かもしれないが、
空の世界のものではない。

あなたの心は、魂は、
どんな環境におかれようとも、
輝くことができるのだ。

そこに、
魂の気高さがあり、
心の気高さがありさえすれば、
あなたのまわりの世界は
おのずから輝くのだ。

特攻隊で散った若者たちの精神性の高さは、
外から与えられたものではない。
彼らが生まれる前から持つ、
魂の気高さなのだ。
その気高さゆえに、
彼らは、過酷な時代の中でも、
家族愛や恋人、友人たちへの愛を見失うことなく、
特攻機とともに、
死出の旅へと立ったのだ。

肉体生命がすべてという価値観では、
彼らの真の姿は見えぬ。
彼らの気高さは、
彼らが生まれる前から持っているもの、
そして、肉体をなくしても、
持っているものなのだ。

色と空というテーマは、
非常に深い神理が込められている。

ブッダが般若心経で語った、

色不異空
空不異色
色即是空
空即是色

この言葉に込められた神理を
じっくりと味わってみよう。

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