【快刀乱麻】

快刀、乱麻を断つ。
略して、快刀乱麻(かいとうらんま)。
とてもかっこいい響きのする言葉だ。

もつれた麻を、切れ味鋭い刀で断ち切るように、ややこしい問題を解決することをいう。

たとえば、薩長同盟を成立させたり、大政奉還を実現させて、倒幕をできるだけ平和に行おうとした、坂本龍馬の手腕は、まさに快刀乱麻だろう。

ところで、男性性には、優しさと厳しさが両方必要。

優しいだけでは生きていけないし、厳しいだけだと、人はついてこない。
社会を生き抜く快男児には、優しさと厳しさを兼ね備え、難しい課題に直面しても、バッサバッサとさばいていくだけのバイタリティがほしいものだ。

坂本龍馬は、人に優しく、不正義には厳しかった。
世の中の矛盾に怒り、脱藩という危険をおかしても、世直しをしようと行動する気概。
それは、ある意味、安穏とした人生を許さない、自分に対する厳しさでもあったろう。

でも、自分に厳しいばかりでは、息がつまってしまう。

龍馬には、ちゃらんぽらんな一面があったらしい。
そうしたゆるさも、大きな仕事をなす男には必要なのかもしれない。

また、人に対しても、やさしさ、厳しさが必要。
人には寛容に接しつつ、
人の道に反する行為には、
ダメ出ししないといけない。
時には自分が憎まれ役になることも必要だ。

要は、相手のためになればいい。

悪を裁くのが快刀乱麻なのではない。
善悪入り乱れた複雑な問題を解きほぐし、解決に導く。
それが快刀乱麻なのだ。

実際、世の中には、善か悪か、二元論で語れることは少ない。
たいていは、両方あるのだ。
それが問題をややこしくしている。

一方では善でも、他方では悪だったりする。
よく見ると、利害が不一致なだけで、どっちもどっちのケースもある。

お互いの話をよく聞いて、お互いの背中を叩いて、手を握らせる。
それも、快男児の役目だろう。

快男児とは、快刀乱麻な男なのかもしれない。

ちなみに、小学校の漢字のテストでも、「快刀乱麻」はよく出てくるが、ふだんあまり使わない言葉なので、正解するのは難しいだろう。
「かいとう」とくれば、「怪盗ルパン」と書きたくなる。
四文字熟語には字余りだが。

よっくる