腹水を抜いて、栄養分を戻す治療 | 石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

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今回行ったのは、

腹水がたくさんたまって

お腹が張るという肝硬変の患者さん。

 

アルブミンを点滴したり、

利尿剤を使っても

なかなかお腹が小さくなりません。

それならばと

腹水を抜くことになるのですが

腹水の中には栄養分もあり

抜いてばかりいると

体が弱ってしまい、すぐに腹水もたまります。

そこで、抜いた腹水から

バクテリアやがん細胞を取り除き

濃縮して再度血管にもどすことで

栄養分をリサイクルすることができます。

 

この治療は腹水濾過濃縮再静注法といい

CART(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)

と書いてカートと呼ばれます。

 

カートは肝硬変による腹水だけでなく

すい臓がんや胃がんによる

癌性腹膜炎での腹水でも可能な治療です。

この患者さんから約4000mlの腹水を抜いて

臨床工学技士さんに400ml に濃縮してもらい

早速患者さんの血管に戻しました。

お腹も平らになり

『楽になった』と喜んで帰って行かれました。

(患者さんには掲載の同意を得ております)