肝臓以外の血管から栄養される肝臓ガン? | 石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

石原知明〜四日市消化器病センター肝臓内科医〜

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今日は土曜。

肝臓手術日ということで

四日市消化器病センターでは

肝臓がんに対する

肝動脈化学塞栓療法(TACE)が行われました。

 

今回の症例は横隔膜近くの肝臓にできた

肝臓がんの治療になります。

肝臓がん(原発性肝細胞癌)は

基本的に『肝動脈』という

いわゆる肝臓を養う血管から栄養をもらって

大きくなっていくことは既報です

 

このがんも

『右肝動脈前区域枝』という血管から

栄養をもらっていましたが、

 

横隔膜を栄養する

『下横隔膜動脈』という血管からも

栄養をもらっていました。

がんは自分がより大きくなっていくため

新生血管を発達させ肝臓以外の血管からも

たくさんの栄養を取り込もうとします。

 

がんのできた場所にもよりますが、

副腎の動脈から栄養をもらうなど

よく似た事例はたびたび経験します

 

浦城医師は

がんを完全に衰弱させるため

肝動脈と、この選択の難しい

下横隔膜動脈にもカテーテルを挿入し

抗がん剤と栄養を遮断する塞栓物質を

適切に注入してくれました。